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チート戦艦の非常識な鎮守府生活

作者:諷詩
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17.大改装

ーーーーーーーーーーーカイクルsideーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私はカイクルだ。久し振りだな。
と、そんな事より大惨事だ。
単縦陣で高速航行中だが
私は小破。リバンデヒも艦橋に一発ミサイルをくらい中破。姉さんは1000t爆弾三発にハープーン百二十発、150cm砲弾25発を食らい、一番、二番、三基砲塔大破。艦橋群が破壊、カタパルト一基沈黙、30mm機関連装砲が殆ど壊滅。大量の浸水に仰角5度。後部甲板から沈没を開始している。
「姉さん!大丈夫かっ!応答してくれ!姉さん!」
また沈んでほしくないぞ私はっ!
『ごめん........』
普段のよく通る透き通った声とは違い、か細く絞り出したかのような小さい声で今にも消えそうな儚さをはらんでいる。そしてその声を最後にインカムの通信が途絶。
しかしまだ沈んでいない!
「妖精さん!しばらく頼む!」
''了解しました!''
私は直ぐに姉さんの船体に転移。しかし出迎えたのは大量の瓦礫と硝煙の香りを伴ったドス黒い煙だった。第一艦橋が文字通り吹き飛んでいるのだ。天井からはコードが無数に垂れ下がり、火花を散らしている。
地獄絵図が広がっていた。直ぐに生命反応をスキャンするが反応無し。良かった...死んでいない...
まさかと、思って来たが、生きているだろう。そう楽観的に考える。
「姉さん!居たら返事をしてくれ!」
........一切の反応が無い。何故だ?
廊下には生々しく引き摺られた血の跡がこびりついている。嫌な予感しかしないんだが...
自然の足取りも重くなり、ゆっくりとした歩きになる。
む.......?あれはアメストリアの妖精さん...?如何したんだ?
なぜか物凄く焦っており、私を急かす。
まさか...姉さんか!
直ぐに走り出す。壁には生々しく血が飛び散っており、二本の血による線が床には広がり、
血の池には真っ赤に染まった姉さんが倒れていた。
直ぐに駆け寄ると息をしておらず、心肺停止。
しかも見た範囲では腕、足に大量の切り傷があり、血が滲み出しており、妖精さんによると内臓も幾つかやられ、右足が骨折。死んでいた。
「リバンデヒッ!姉さんが心肺停止だ!直ぐに船体を引き揚げる!牽引用ワイヤーを兎に角アメストリアに射出しろ!」
『.......了解』
この船体が完全の沈没した時が姉さんが本当に死んでしまう時だ。
直ぐに私の船体の医療室に転移し、姉さんを寝かせる。そして人工呼吸を施してゆく。
「一、二、三...んっ.......一、二、三...んっ...妖精さん!応急修理要員を全てアメストリアに回せ!何が何でもアメストリアの機関を生き返らせろ!」
引き続き人工呼吸してゆくが、良くならない。
くそッ......船体は...未だに浸水を続けている。
しかし妖精さんが頑張っているのか炎の勢いが若干弱まり、機関室から激しい火花が散る。
アメストリア型戦艦に積まれているウンターガングエンジンは無限稼働機関だが、整備が難しく、修理はほぼ不可能と言われている曲者だ。パーツ一つ一つ知り尽くしている私でも緊張する。
しかしそれは人間に限った場合だ。妖精さん、特に修理に特化した妖精さんなら別。
エンジンに宿る妖精さんが協力すれば尚更。

アメストリアから唸り声が上がり、機関が再び火を灯す。
そして船体の隅々にまで電力が伝達されて行き、アメストリアが息を吹き返してゆく。
生き残っている照明が付き、無理をしているかのように強制的に排水されて行き、再び海面を滑る。
しかしそれは出撃時に比べると幾つか水位が下がっているようにも感じる。
そして姉さんの方にも変化が。
「ゴホッゴホッ...!」
激しく吐血し始め、心臓が再び動き出す。
しかし意識までは戻らず、昏睡状態だ。でも生きていた...良かった...また姉さんを失いたくないんだ...

何とか鎮守府までは航行することが出来た。
鎮守府近海にて待機していた第六駆逐隊、高雄型重巡洋艦四隻に大和殿達の船体を預け、アメストリアを第一ドックに入れ緊急修理。私達は沖合にて事故修理中だ。大分驚いていた。まぁ、分からなくもない。世界最強の戦艦が大破したのだ。船体はひしゃげ、一番、二番、三番砲塔が破裂したように装甲板が捲れ上がり、砲身は折れている。艦橋群は辛うじて原型をとどめ、今なを煙を吐き続けている。甲板は全焼。板は張り直さなければならない。カタパルトも一基破損し、機関は二機沈黙。スクリューは一番、三番が脱落し、損失。舵が一つ割れ、動けない状態だ。
妖精さんに任せているがな。なぜかと言うと姉さんを鎮守府の医務室に運び込み、看病しているのが私だからだ。面会謝絶にしておき、私は姉さんの痛々しい身体に包帯を巻いてゆく。
切り傷には消毒し、ガーゼを当ててから包帯を巻いている。お陰で姉さんの巫女服から見える腕や足は全て包帯で覆われ、頭も包帯を巻いている。どこの重症患者だ...
恐らく松葉杖が必要になると思う。一応、板を当て、骨折に関しての応急処置はしてあるが、あとは自己修復力に任せるしかない。
そして船体だが、先程妖精さんの報告を受けたが、正直解体処分するべきレベルのダメージを負っていたようだ。あと少し自力で航行していたら船体が真っ二つに割れて轟沈していたらしい。
船体は激しく痛み、作り直したほうが早いらしい。なら、あの設計図を解禁しようじゃないか。
リバンデヒにも意見を問うたが、同意してくれた。流石私の姉。
妖精さんにアメストリアの重金庫の一番奥にある厳重に保管された分厚い設計図の山。
その題名は、

[アメストリア型戦艦第二次改修計画書]

だ。そう、つまり改二だ。作り直したほうが早いなら作り直そうじゃ無いか。更により強力に。
性能はこれまでのとは比べ物にならない。火力だけなら航空戦闘艦の戦艦クラスに匹敵する。
主砲はこれまでの三倍以上、副砲は主砲であった150cm四連装砲。
船体は要塞の如く硬くなり、そっとやちょっとで傷は負わない。CICが実装され、中央演算処理装置が改修され、スーパーコンピューターに変わる。最新鋭の。そして対空砲の30mm機関連装砲は殆どが壊滅した為45mm対空機関連装砲に変えた。ミサイルは4500基に増加させ、艦載機も増量した。
今までも十分すぎるほどチートであったが、本来のアメストリア型戦艦一番艦アメストリアでは無かった。真のアメストリアは改ニからだ。しかし妖精さんは波動砲?とかいう砲を作ろうとしていたのだが、消費エネルギーや砲塔の大きさを、考えると転覆するため、すぐに辞めさせた。お前たちは何と戦おうとしているのだ...
「........ぅ...ゲホッ...カ、イク...ル...?」
「そうだ。姉さん...良かった...生き、てた...な......」
視界が歪んで行く。あぁ...初めて泣いてしまったな...でも、本当に心配してしまったんだっ!
「すまない........心配を掛けてしまったか...」
「あぁ...グスッ......そ、うだぞ...死んで...しまったか、とっ!...うぅ.......」
抱きつく。本当に、本当に良かった。私達のように沈んで欲しくないのだっ!

ーーーーーーーーーーーーアメストリアsideーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アメストリアこと私だ。
大破して気絶したんだが、妹達の努力によって何とかなったみたいで現在カイクル抱き着かれている。泣かせてしまったな...''彼女''によると泣いたのは初めてらしい。
後で何でも聞いてあげようか。リバンデヒは...却下だな。色々と初めてを奪われ兼ねない。
にしても痛い。ズキズキと突き刺すような痛みがあるが、身体は不思議と暖かく、修理されていると思われる。
「カイクル...私の船体は如何なった?沈んだ、か?」

「いや...グスッ........大丈夫だ。現在最優先でかい...修理中だ。」
「そうか、あの、起き上がれないから手を貸してくれないか?」
「...あぁ。分かった」
そう、カタパルトがやられているせいで、右足が折れているのだ。処置がされているのは先程目に入ったが、カタパルトが修理されない限り自己回復は無い。
カイクルに肩を貸して貰い、何とか立ち上がる。少しフラッとしたが、カイクルに支えてもらい、倒れるのは何とか回避。腕は全て包帯に包まれ、所々赤く染まっており、巫女服も真っ赤に染まっている。私の事だが、何とも痛々しい。ん?頭にも巻いてある...うわぁ...
「提督は?」
「提督室にて応対中だ」
「なら乱入するぞ」
「了解した」
報告を兼ねて乱入しようじゃないか!
HAHAHA!....はぁ...まぁ、ここに大和達が来るのかも気になる。
今の所火力は余分な程あるが、表向きの普段動く主力艦隊がいて欲しいし、無論チート化して欲しい。目指せ鎮守府全体チート化!だ。

ドアを軽く叩き、左手でドアノブを捻る。
右足を引き摺りながら入室する。
「提督、只今帰還した」
「.......あ、うん。おかえり......大丈夫?」
「大丈夫では無い。それよりも大和達、入るのか?」
「........貴女に信頼されているのだから大丈夫でしょう。大和以下五隻、パラオ鎮守府に所属します!」
「了解した、提督」
「?」
「申し訳無いっ!」
『え?』
全員から何言ってんのコイツっていう目線を向けられるが、気にせず頭を下げる。
''彼女''にもだ。私の不注意...結界を張らなかったせいで、''彼女''は大破し、リバンデヒは中破、カイクルは小破し、修理に大量の資材が溶かされている。
「私の所為で10万は鋼材が消えただろう...?」
「えっと、いや?君だけでは20万行くか行かないか...」
........おおっと?以前聞いた情報と違うぞ?
「私はまた改修に...か?」
「うん」
「はぁ..........リバンデヒ、私の重金庫にある設計図を使ったか?」
「何のことかしらね?」
でなければ20万という大破からの修理消費量の二倍の量が溶けないだろう...
しかし、あの改修を使ったのか...開発大変だっただろうなぁ.......主砲、レア度が☆十五個くらいあったし。
だってさ?



500cm四連装砲




なんてな?
はーい分かってます!分かってます!色々と可笑しいことは分かってます!
私も妖精さんに連れて行かれて計画書を読んだ時は何も言えなかった。
500口径って何やねん...おかしいやろ...
「まぁ...いい。どうせあの改修には一週間はかかるだろう。ゆっくりと休ませて貰う」
「うん。ゆっくりね。大和達はカイクルについていってね。リバンデヒ、少し残ってくれるかな?」
「分かったわ」

ということでリバンデヒを残して全員解放。カイクルが大和達にアメストリアの機密情報を説明している間に入渠させて貰う。じみに「いい加減さっさと入渠してこい」とカイクルに言われた時は少しおちこんだ。
取り敢えず巫女服を変えてみたが、変わらず初期の巫女服だ。改ニの巫女服って何か変わるのだろうか?
脱衣所にて綺麗にした巫女服を脱いで行く。今までは三姉妹で入っていたのだが、今は一人。
道着を脱ぎ、袴、襦袢、サラシの順で脱いで行く。
そして申し訳無い程度にタオルで隠し、浴槽に入る。
少ししみたけど。
不思議と激痛は走らず、むしろ癒えてゆく。
なにこの謎技術。
はぁ〜〜〜癒されるぅ...この''彼女''の身体になってから好きになった気がする。
気持ちいんだもん。
「はぁ......ひゃん!?」
何者かに突然胸を揉まれる。というか犯人一人しか思いつかない。
「ふふふふふ...やっぱり反応いいわぁ...」
リバンデヒだ。ナンデ!?何でいるの?提督に呼ばれてたでしょ!?
なんかデジャヴが.......しかも慣れた手つきだ。変な感覚にぃ!?私自我は男だ...っ!
「やめっろっ!リバンデヒッ!ひゃん!?」
「うふふふ...敏感だからねぇ〜♪」
「やめぇ!?ケホッ.......リバンデヒ、ようやめてくれ...もうやらないって言ってただろう...」
「何のことかしらね〜?」
「ケホッ...まぁ、良い。それよりもどうしてリバンデヒは提督に?」
「別にどうってことないわよ。我がアメストリア國の技術を大本営が要求してきたからどうするかどうかっていう話よ」
「断固拒否する」
「当たり前よ。最新技術が詰まっているのよ?機密中の機密を洩らす訳無いじゃない」
「要求されたら自決する...しかし、行ったほうが良かったのか?」
「いいえ?大丈夫よ。技術漏洩は出来ない。それよりもお姉ちゃんを轟沈ギリキリまで追い込んだ深海棲艦だけれど100000mに捉えたわ。けど二隻だったわ。」
「私達の同じ存在、か......」
アメストリア型戦艦、つまり私達だが、艦娘側のみにきたわけじゃないだろう。
だからいても可笑しくない。けど妹であることには変わりない。
「そうよ。あの黒い戦闘機はF-105。紋章からして重装空母加賀ね」
「苦戦は.......するかもしれないな」
「いえ、お姉ちゃんなら大丈夫でしょう?アメストリア型戦艦一番艦アメストリアは改ニから真価を発揮するのよ?」
「まぁ...無理とは言えないが...」
あのステータスを見せられるとね...今までの改修は慣らしの為だったて言われても納得せざるお得ないレベルで変わる。今まででも充分チートなんだけどなぁ...
「まぁ、会ったらな?」
会敵したら潰す。残酷だが、それが戦争だ。''彼女''の記憶を見ていると嫌でも分かり、日本がどれだけ平和でのんびりとしていたか分かった。
「えぇ。今度こそ叩き潰すわ」
「あぁ...リバンデヒやカイクルも改ニになったのか?」
「時期を見てだけれどそのつもりよ。高速建造材を使うつもりだけれど」
ん?改修に高速建造材って使えたっけ?それはゲームの知識か...ここは現実。武装も改造できるし、ゲームの制約は受けない。
レーダーに映ったのは4650×730の艦影と488.5×120.6の艦影。
正直大量のミサイルをぶち込んで(BGMも)殺るしかない現代版艦隊決戦か...
接近戦やろうぜっ!というなら受けるつもりだが...どうかなぁ.......
 
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