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ひねくれヒーロー

作者:無花果
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あらゆる過去を締め出せ


明日を耐え抜くために必要なものだけを残して、あらゆる過去を締め出せ。
—ウィリアム・オスラー—

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あらゆる過去を締め出せ












◇◆◇コン◇◆◇









サイこと薄墨・・・面倒だな、もうサイで良いか

サイと組んで2週間たった


すでにナルトはエロジジイとともに修行の旅に出ている

ペインは木の葉に残って、未だにオレの命を狙う忍者退治をしてくれている

エロジジイの弟子ということで、特例で木の葉の額当てを着用し、今では里の一員となった


ペインの素性が分からないことに警戒している人間もいるが、そこは先生&ガイ先生のコンビが説得して回ったらしい

たまに差し入れを持ってくるペインがそう話して、良い人だと評していた


現在オレの命を狙う里の数はだいぶ減り、しつこく狙うのは音隠れのみ

あとはたまに岩隠れが紛れ込んでいる

暁によって倒され、放置された暗部に爆発の痕跡があるのは・・・紛れもなく奴の仕業だろうか



根での研修で表に出ることが少なくなったオレを、表立って狙う者はほとんどいなくなり一安心



これもペインと暁、根に入れてくれた三代目やダンゾウのお陰

・・・暁・・・・の、お陰・・・?



自分で思っておきながら暁は何か違うよな・・・




ちなみに、中忍に昇格したシュロとイカリは華々しく活躍している




イカリは暗号班の元で解読作業のイロハを叩き込まれ、その知識を持って拷問部隊で腕を揮っている


そう、イカリは拷問部隊所属の中忍となって二代目ドSを襲名してしまったのだ・・・!


初代ドSたる森乃イビキとは、拷問技術の師弟関係を結んでしまうし・・・

なんだか吹っ切れてから方向性を間違えているような気がする

所属部隊以外でも五代目火影の元で、裏方関係の事務もしているようだ




シュロは、トルネのお誘いを一蹴し、追い忍部隊で活動している

抜け忍の首を持って受付に任務報告して、イルカ先生に怒鳴られたとの噂がある

変な所で抜けてるなぁ・・・

また小隊メンバーとの連携に力を注いでいるらしく、油女一族らしくない社交的な男と有名になった


追い忍として里外に赴くことが多いため、よく土産物をダンゾウ経由で渡してくれる

この前は雲隠れ名物雷影ポスターをくれた


・・・まるでプロレスチャンピオンのようでしたとも・・・


根の人からの何で雷影?という視線が煩わしかったが、ネタとしてお気に入りです


追い忍任務が終われば、事務任務も引き受けているらしい


どうせイカリと仕事合わせてるんだろうな




シカマルはそんな2人を見ながら適度にサボりつつ事務やら上忍の援護やら色々しているらしい

直接会わないから噂程度しか聞けない




あと、シナイ先生

受け持ちの生徒が2人昇進し、もう1(オレのこと)は表向き長期入院ということでただの上忍として任務に出ている

外交専門忍者として、月の国やら鬼の国やら雪の国やら鉄の国やらへ行ったり来たり・・・

カタパルト乱用して移動距離を稼いでいるため、他人より交通費がかからないんだと自慢された

・・・アンタパシらされてるだけじゃないの?

そう呟こうとした瞬間、見舞いに来てくれていたカカシとガイ先生に口を防がれた

言ってはいけないことだったらしい



最後に、オレのこと


オレは表向き長期入院患者として木の葉病院に入院している

修行以外はずっと病室に閉じこもっているのだ


こんなに元気なのにな! おっと吐血吐血・・・


病室の前に面会謝絶の札がかかっていれば、修行中

面会OKの札がかかっていれば、休暇中


オレの体の弱さは大体の奴が知っている

面会謝絶ぐらいなら、体調が悪化したんだなーぐらいで皆帰ってくれるのがなんか悲しい


それもこれも、ねたみコンと鶸茶の存在を匂わせないようにという配慮

虚弱体質が根に、暗部なんかに入るわけがないという先入観

ねたみコンは入院しているという思い込み

それらが合わさって、”鶸茶”に”ねたみコン”との関係を聞き出してくる輩はいない


演習場で、たまたま出会ったチョウジが何やら考え込んでいた時はビビりました

バレたら面倒だなーと思っていると、そのまま立ち去った

チョウジってなんか妙に鋭い時があるから怖いわ・・・



「何考えてるの?」



先輩達との組み手を終えたサイが、座り込んで眺めていたオレに話しかける

一度オレの罠にはまってから、超獣戯画の術だけでなく体術に磨きをかけている

一応ペアを組んでいるのだから、組み手ぐらい相手になるのにな

わざわざ先輩に頼まなくても良いのに


「・・・別に」


立ちあがって給湯室へ行く

サイの組み手が終わったら、毒の講義をしてもらう約束だ

茶菓子ぐらい用意すべきだ


「あ、待ってよ鶸茶」

「・・・待ってろ、すぐ戻る」

「分かったよ」


素直に言うことを聞いてくれるのは良いけれど・・・

サイってもしかして監視役なんじゃないかって思うほどひっついてくる

常時背後に居られると遣り辛い

手早く茶を入れて、お盆に載せて戻る

今日の茶菓子はチュイル、葉っぱの形をした薄いクッキー

空き缶に大量に詰めてきたので、空き缶ごと出してしまおう


「今日はクッキー?」


戻るとすでに机が置かれ、教材である毒瓶や巻物がある

真ん中にお盆と空き缶を置いていると、サイが覗きこんで一つつまんだ


「・・・薄墨、先輩たちに礼は言ったのか」


首を傾げて、横に振られる

言ってないのか・・・

気にしてないぞーと先輩たちから言われるものの、どうも気になる


サイが原作よりも、物知らずというか、常識というものを知らないというか・・・

せめて組み手を付き合ってもらったことに礼ぐらい言おうぜ

組み手してください→組み手→それじゃまた

そんなことばっかりだ


ポリポリとクッキーをかじり続けている

先輩達も茶を啜りながら、どれから教えるべきか相談している


「なあ薄墨」


「! 何ですか?」


「常識って知ってるか?」


紙を取り出され、”常識”と嫌に達筆に書かれてしまう

自慢げに見せてくるサイ

流石に先輩たちもおかしいと思ったのか、お互い顔を見合わせている


・・・もうちょっと違う対応してたら、別のものを渡そうかと思ったけど・・・

やっぱりこいつにはこれが必要なようだ


ポーチから一冊の本を取り出す———マナー教本だ

冠婚葬祭から御近所付き合いまで、聞くに聞けないことも詳しく書かれている、書店オススメ本だ


「やる 読め」


サイに押し付けた


「本・・・ですか
 わかったよ、鶸茶が言うなら読むよ」


うんうん

こういう時は従順な性格は便利だな

ま、原作でも本をよく読んでいたし、これぐらいの教本なら苦にもならないだろう

今日の修行が終わってから読めよと釘をさして、先輩たちに向き直る

さぁ、講義をしてもらおう・・・って


「・・・何か?」


仮面ごしに伝わる視線

何やら困っているというか、悩んでいるというか・・・


「いや・・・薄墨が、読書って・・・」

「・・・見たことないから、なぁ?」


・・・読書趣味じゃないのか!?

もしかして余計なことを覚えさせてしまったのか!?


不安に襲われながらも、毒の講義が始まった


・・・ナルト、もし新生七班になったとき、サイが本本うるさかったらオレのせいだ・・・

・・・本当ごめん・・・














◇◆◇シナイ◇◆◇










困った


実に困った



鉄の国から木の葉へ帰る途中


森の中で、サソリと出会ったー 



お互い距離を置いて隙を伺っているけれど・・・どうしよう・・・



書類をお届けするだけの簡単なお仕事だから小隊組まずにいたのに・・・! 

なんでAランク任務でS級犯罪者と遭遇しなきゃならないんだ


五代目様、いまからSランク任務に変更ききますか!?ききませんですよねゴメンナサイ!


心の中の五代目が般若になっていたのですぐさま謝る

どうしようどうしようどうしよう


小南のときは、コンが危ないと思ってやけくそだったし、他にも上忍いっぱい待機してたから大丈夫だと思って突撃したけど!何も考えずに突撃したけど!


この場には私一人、カタパルト多発してもまだまだ木の葉は遠い!


「・・・落ちつけよ、なんで反復横とびしてるんだ・・・」


・・・現実逃避かなー・・・

呆れた眼で観察される

背の竹刀を手にかけるが、はたしてここから逃げれるものか・・・


「・・・砂の抜け忍、サソリだな?」

「はん・・・想像していたよりも、ずっと人間らしいじゃねえか・・・まじらず棟梁さんよ」


棟梁ということは・・・このサソリは私がいた世界の記憶を持っているのか

イカリの所は鬼鮫、コンの所はイタチ、私の所は角都とサソリ・・・

この分だとシュロの所も誰か記憶持ちがいるんじゃないか?


「・・・お前とは面識がないが・・・」


初代が木の葉の原型を作ったぐらいで死んだからな私

確か滝の忍と交戦して、その傷を癒しつつ術の研究してたはず

研究中の事故死だからなぁ・・・しまらない


「アンタについての伝記があってな・・・
 よく寝物語に聞かせてもらったもんだ・・・面白かったゼ?」


なんで砂隠れに私の伝記があるの?

脚色されてそうで怖い

昔はヤンチャしてたからなー

うぅ・・・創設時代のことを知られたらコン達に中二中二と苛められてしまう・・・


「ま、アンタと戦う気はねえ
 角都が再戦を願ってるんだ、横取りするほどガキじゃないんでな」


生きて帰れる!

良かった、流石に暁と敵対したら死亡するしかないもんな

一体どこでフラグ立てたのかと我が身を疑ったわー

ところで・・・


「・・・角都?」


コンからも再戦をどうとか教えてもらったけどな

どうして角都?私面識ないぞ?


「あ?
 ・・・あー・・・初代火影を、滝隠れの暗部が襲っただろ?」


・・・あぁ、さっき思い出したやつだな

ミトとの結婚祝い持っていったら急に襲いかかってくるんだもんな・・・

初代がぶちのめしてたよ


「そんなこともあったな」


コンに聞いてからぼんやりとしか思い出せなかったんだが、ようやく思い出せた

すっきりすっきり


「忘れてたのか・・・ そのときの暗部の一人が角都だ
 アンタに負けてから、ずっと戦いたかったらしいぜ」






・・・・・・え、誰?






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ひねくれヒーローで一番カワイソウな人は誰なんだろうか
 
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