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魔法科高校~黒衣の人間主神~

作者:黒鐡
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入学編〈上〉
  実習課題・加速と減速

教育用端末の普及により、学校不要論が流行ったと報告書で読んだ事がある。ネットワークで授業ができるのだから、わざわざ長時間掛けて通学するのは時間の無駄で、エネルギー資源の無駄だと聞いた。ただ学校不要論が流行したまではされていなかった。どれほどインターフェイスが進歩しても、仮想体験は所詮現実ではない。実習や実験は、リアルタイムの質疑応答を伴う現実体験でなければ十分な学習効果が得られないことと、同年代同士での集団で学ぶことそのものが学習促進効果があるというのは、百年前とあまり変わらないこと。仮想でやったとしても理解できないところがあるし、友人同士や同じクラス同士でした方が効率がいいという考えもある。

俺が所属している1-Eはまさに実習授業中だが、リアルタイムでの質疑応答できる教師はいない。学術的研究の成果が、必ずしも合理的に採用されるというのは限らないという実例が今ここにある。俺らE組の生徒は壁面モニターに表示されている操作手順に従い、据置型の教育用CADを操作を習得すること。ガイダンスとあまり変わらないが、課題はあるようだ。監督している教師はいないが、課題を提出が唯一、履修の目安となるらしい。やっているのは入門編その1みたいな感じではあるが。今回の課題はこの据置型のを使って小さな台車を三往復させるというのだった。移動魔法の初級編ということだけど、俺なら念力で動かせるがここは現代魔法の実習だからどうしても現代魔法でやらなければならない。一応この学校に入学するまでの間に、現代魔法についてを学んだが。

「一真、生徒会室の居心地はどうだった?」

順番待ちであったために、背中から突かれたので誰かと思うとレオだった。

「居心地はまあまあよかったよ。あの副会長がいなかったのが幸いだったよ」

「副会長って、あの一科の服部副会長?」

居心地はよかったけど、あの副会長の事を言ったら前にいたエリカが質問してきた。

「その副会長が入学式のあとに俺を睨んできたから、いたらいたでとばっちりを受けるところだった。あと生徒会が風紀委員にと指名してきた、予想範囲内だけどな」

予想範囲内ということで、レオやエリカは首を傾げていたが。

「生徒会からスカウトされるのは凄い事だと思いますけど、範囲内なんですね」

と美月がそう言ってきたようで、再チャレンジのために最後尾へ戻る足を止める。すると左右の列で小さくざわめきが起こっているのは、美月と同じリアクションなのか。

「それはそうだろう。昨日は俺の権限を使っての処罰をしたのだから、ああいうのは目立つからさ。風紀委員になっちまえば、あまり目立たなくなるしと思っただけだ。それに俺にはそこにいる蒼太の件もあるし」

と言ったら納得したレオたち。確かに特例の権限を持った生徒を早々権限で処罰なんかしたら、反感を買う事になる。風紀委員はちょっとした警察みたいな感じで権限はほぼ同じだからな。エリカから風紀委員って何すんの?と言われたから答えたら一真君にはピッタリだねと言われた。まあ対人戦闘とか得意だし、何のために護衛がいるのかとね。

「まあ風紀委員に関してはやってみようと思う。対人戦闘は得意中の得意だし、危険と思われがちだけど複数犯いたら蒼太に手伝ってもらうし」

「それはそれで面白そうだな。頑張れよ、応援するぜ」

「でも喧嘩の仲裁ってことは攻撃魔法のとばっちりを受けるかもしれないんですよ?」

「そうよ。昨日は取り押さえたあとに生徒会長と風紀委員長が出てきたから、よかったものを。逆恨みする連中だって出てくるし」

「でもよぉ、威張ってしゃしゃり出てくる一科生よりは、一真の方がいいのかもしれないぜ」

とまあこんな感じだけど、喧嘩しなければの話でも火の粉を払わなければいけないときもある。世の中には濡れ衣や冤罪とかあるくらいだけど、それについても問題はないしな。学校には監視カメラはついているかは知らないが、俺の身に付けている物で撮ればいいことだし。それに一科が二科を取り締まるより二科が一科を取り締まったら、二科としては良い事だと思うな。

「次はエリカの番だぞ」

「あっ、ごめんごめん」

少し慌てたエリカであったが、すぐに気持ちを切り替えた。エリカが深呼吸をしたあとに、肉眼では見えないが魔法師なら見えるサイオンの波動がエリカの背中越しから見えた。起動式の展開とそれに続く魔法式の発動で、使い切れずに余ったサイオンの光。技巧に優れた魔法師ほど余剰想子光は少ないが、高校一年生としては悪くないレベルだ。余剰想子光が一定レベルを超えると光子干渉により物理的な発光現象まで伴うことになるが、それがなかった分、力をキチンと制御できているんだろ。CADの前に置かれた台車が走りだし、折り返し戻ってくる。それを三往復。エリカにとっては満足な結果なのか小さなガッツポーズをした。

この実習はレールの中央地点まで台車を加速し、そこからレールの端まで減速して停止。逆向きに加速と減速を三往復させること。CADに登録されている起動式は加速と減速を六セット実行する魔法式の設計図。と俺の番が来たので据置型の教育用CAD前に立った。そして手を置いてサイオンを流すが、返ってきたノズル混じりの起動式だが何とか動かせたし、加速と減速をしたので合格ラインに入った。ただやはりというか遅いと思ったがまあしょうがないとは思う。俺は本来なら起動式やCADを使わない魔法師というより超能力者や精霊術師という方が近い。エレメンツ(属性)使いでもあるけど。あとは神の力、それは封印処置をしているから普通の人間に見える。 
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