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魔法科高校~黒衣の人間主神~

作者:黒鐡
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入学編〈上〉
  生徒会室でのお昼×特例権限についての理由

四階の廊下、突き当りが目的地。一応聞いているが俺はスマホを片手に持ちながら先頭は俺と深雪で後ろには蒼太と沙紀が。この学校の中は既にスキャン済みである。なので今でいうLPSというのだが、俺ら的にはマップにGPS機能が付いてると思っている。見た目は他の教室と同じ、合板の引き戸である。違いがあるとすれば中央に埋め込まれた木彫りのプレートと、壁のインターホンに巧妙に隠しているが数々のセキュリティー機器。プレートには「生徒会室」と刻まれていた。招かれたのは本来だった深雪のみだが、この外史では俺と深雪がお招きをされたからだ。インターホンで深雪が言うと、明るい声での入室許可をされたので入る俺と深雪だった。

「いらっしゃい。遠慮しないで入って」

正面、奥の机から声がかけられたが会長は楽しそうに手招きをする。俺は普通に入るが深雪は手を揃え、目を伏せ、礼儀作法のお手本のようなお辞儀をした。こういう洗練された仕草は俺には真似できない。妹の作法や言葉遣いは深夜と月中基地本部で英才教育をした奏と優斗が仕込んだのだろう。

「えーっと・・・・ご丁寧にどうも」

晩餐会にも通用しそうな所作を見せられ、会長もたじろいでいる様子だった。他にも二名の役員が同席していたが、すっかり雰囲気に呑まれている。もう一人は風紀委員長の渡辺先輩だが、ちょっと無理をしたポーカーフェイスであることを。後ろにいる蒼太と沙紀は、相変わらずだなと思いながら後ろにいた。

「どうぞ掛けて、護衛のお二方も。お話はお食事をしながらにしましょう」

深雪の先制攻撃にペースを崩されたのか、会長の打ち解けたという感じではあった。それに長机は今時珍しいく情報端末が埋め込んでいない。木製の机というのは、何となく懐かしいと思った俺と蒼太たちであった。深雪を座らせてから、俺は右隣に座ることになる。護衛である蒼太と沙紀は俺の隣に座った。俺は上座であるが、今回は深雪が主役という感じなので俺は下座に座ったのだった。

「お肉とお魚と精進、どれがいいですか?」

自配機があるのにどうやらメニューが豊富のようで、俺と深雪は精進にした。それを受けて二年生の書記、中条先輩だったか、壁際に据えつけられた和箪笥ほどの大きさの機械を操作した。あとは待つだけなのだが。ホスト席に会長、隣にいるのは三年生の生徒、隣はもう知っているが渡辺先輩、その隣に中条先輩が席を付くと会長が話を切り出した。

「入学式に紹介しましたけど、念の為、もう一度紹介しておきますね。私の隣が会計の市原鈴音、通称リンちゃん」

「・・・・私のことをそう呼ぶのは会長だけです」

「その隣は既に知っていますね?風紀委員長の渡辺摩利。それから書記の中条あずさ、通称あーちゃん」

「会長・・・・お願いですから下級生の前で『あーちゃん』は止めて下さい。私にも立場というものがあるんです」

市原先輩はリンちゃんより鈴音の方が良いのではと思ったが、中条先輩の方はそれであっていると思う。会長よりも小柄な上で童顔だ。本人は無自覚でもあれで上目使いされたら、小さな子供に見えると俺は思う。

「もう一人、副会長のはんぞーくんを加えたメンバーが、今期の生徒会役員です」

「私は違うがな」

「そうね。摩利は別だけど。あっ、準備ができたようです」

ダイニングサーバーのパネルが開き、無個性ながら正確に盛り付けられた料理がトレーに乗って出てきた。5つだが足りないと思ったら渡辺先輩は自分で作ってきた弁当を取り出したことで納得する。ちなみに蒼太と沙紀も穂波さん特製の弁当を作ってもらっているので、空間から2つの弁当を俺が取り出すと不思議がる会長たち。まあ普通に不思議に思うが、これは俺の力の一つだ。中条先輩と深雪が立ち上がってから俺らの分を取る。自配機対応の机でなけらば人の手が速いからだ。まずは当たり障りのない話題となった。まあ俺と会長の仲はあるので、共通の話題はあるがそれは関係者のみならあるがここには関係者ではない者もいる。なので今は料理の事となるが、自動調理なのでレトルトなのだが、俺らは手作り派ではある。

「そのお弁当は、渡辺先輩がご自分でお作りになられたのですか?」

深雪の意図は、単に会話を円滑にしたセリフであり他意はない。

「そうだ。・・・・意外か?」

深雪に問われて頷いたあとに、意地の悪い口調で渡辺先輩は質問を返した。嫌味ではなく俺ら下級生を少しからかっただけだと思うが。

「いえ少しも。料理を好んでいるのであれば、手を見れば分かります」

と言ったら手を隠していたけど。俺と深雪はどっちかといえば手作り派である。まあ俺が作ろうとすると、深夜と穂波さんと深雪に止められる。俺の料理スキルはもはや女性が食べるとプライドを粉々にするから作らせてくれない。でもたまには作らせてくれるけど、腕をなまらせたくないので。

「私たちも、明日からお弁当にしましょうか?」

「ふむ。そうなると必然的に俺ではなく深夜か深雪が作るんだろ?それに食べるとしても場所がない」

「それはそうですよ。お兄様の料理は五つ☆が付くほどの腕前で、私やお母さまのプライドが粉々になるのは存じていますでしょ」

二人の会話は、兄妹の会話と思われがちだが会長と渡辺先輩にとっては親子の会話だなと思ったそうだ。俺と深雪の関係を知っているからな。空気は異性の肉親同士と見えるらしいが。

「・・・・まるで恋人か親子同士の会話ですね。それと深雪さんは知っていますが深夜という方はどちら様ですか?」

市原先輩が爆弾発言をしたので、一瞬バレたかと思ったが違ったようだった。

「深夜は知り合いの者なんで、今は一緒に同居しているから。まあ血が繋がっていなかったら恋人にしたいと思いますね」

とそういう風に言ったので何とかなった。深夜ということは言わない方がよさそうだ。

「一真君は見た目は学生と見えるけど、大人な発言もするから一筋縄ではいかないわよ。とそろそろ本題に入りましょうか」

高校の昼休みは無限にある訳がない、既に食べ終わっているので口調を直した会長が言う。

「当校は生徒の自治を重視しており、生徒会は学内で大きな権限を与えられます。公立の高校では一般的な傾向です。が、今年度の一年生であるあなた達は生徒会や風紀委員のメンバーでなくとも権限が与えられています」

前者は既に分かっているので相槌として頷いた俺であるが、後者は俺らが入学する条件としての権限をもらったからだ。三年前の沖縄防衛戦でも俺らはそこにいた。まあ当事者である俺=総司令官は、国家同士との外交は行っていない。我らはどこにも属さないが、蒼い翼関係の者が戦闘に巻き込まれたら国は滅ぼさないが、戦闘部隊は滅ぼすようにしている。

「当校の生徒会は伝統的に、生徒会長に権限が集められています。大統領型、一極集中型と言ってもいいかもしれません。生徒会長は選挙で選ばれますが、他の役員は生徒会長が選任します。解任も生徒会長の一存に委ねられています。各委員会の委員長も一部を除いて会長に任命権があります」

「私が務める風紀委員長はその例外の一つだ。生徒会、部活連、教職員会の三者が三名ずつ選任する風紀委員の互選で選ばれる」

「という訳で、摩利はある意味で私と同格の権限を持っているんですね。さて、この仕組み上、生徒会長には任期が定められていますが、他の役員には任期の定めがありません。生徒会長の任期は十月一日から翌年九月三十日まで。その期間中、生徒会長は役員を自由に任免できます。そして一真君は特例として私や摩利と同じ権限を持っていますし期間限定はありません。そしてこれは毎年の恒例なのですが、新入生総代を務めた一年生は生徒会の役員になってもらっています。趣旨としては後継者育成ですね。そうして役員になった一年生が全員生徒会長に選ばれる、という訳ではありませんが、ここ五年間はこのパターンが続いています」

「あの、会長に質問があります。会長と摩利さんは同じくらいの権限を持っているのは知っていますが、なぜ織斑君まで権限を持っているんですか?」

「それは私も聞きたいところではあります。今年度の一年生は特例としての権限に銃火器とCADの常備に護衛が付くと、あまりにも特例すぎはしませんか?まるで要人という感じです」

上から中条先輩と市原先輩だ。まあ確かに俺らは特例な生徒だ、それに隣にいる護衛の者にもチラりと見る先輩方。

「まあそれについてはあとで答えますが、深雪さんには生徒会に入って下さることを希望します」

「会長がそう仰るのでしたら、喜んで入らせてもらいます」

と言ったので、深雪は生徒会役員の書記としてなったが疑問があるので、俺は答えた。

「深雪は生徒会役員になりましたが、先ほどの疑問に答えますと、これは私の親友である零達也からの要望なのですよ」

「零達也!?あの大企業である蒼い翼の社長であるあの零達也ですか!?」

「本名以外は全て謎であのトーラス・シルバー並みの人物とされていますが、あの零達也なんですか?」

零達也というキーワードに市原先輩と中条先輩は驚愕していた。何しろ百年前から名前だけは公表されていて、姿とプロフィールは一切見せないと言われている。謎の魔工技師であるトーラス・シルバー並みの謎の人物としてある。誰も会った事はないからだ。証拠はあるのですかと聞かれたので、会長と渡辺先輩はパスケースにある名刺を取り出した。名刺には蒼い翼のシンボルマークと共に名前が書かれているのを先輩方に渡したからだ。

「そういえば零社長から言った事があったな、風紀委員に一真君を任命することを」

「生徒会の役員は一科のみ選ばれることは知っていますが、風紀委員は二科でも選んではいけないとは聞いていませんが。それについては?」

「ああそうだった。風紀委員の生徒会選任枠の内、前年度卒業生の一枠が埋まっていない。一科を縛るのは副会長、書記、会計だけ。つまり風紀委員の生徒会枠に二科の生徒を選んでも規定違反にはならない。だったか?」

「そうだったわね。風紀委員なら問題はないし、昨日の時点では特例とした権限を持っている事を知らない生徒も多い。生徒会は一真君を風紀委員に指名します」

「その方が助かりますが、そろそろお昼も終わるので。この話はまた放課後にしても構いませんか?それと私の護衛も権限を持っています事もお忘れなきよう。護衛の者も蒼い翼から派遣されておりますゆえ」

もうそろそろ昼休みも終わりそうだから、この話は保留にしてまた放課後に行くことにした。まあこれは零達也=織斑一真である俺がそう言った事だし、その方が俺や護衛の権限も知らない生徒は多い。知っているとすれば、一部の風紀委員のみだけど。あと生徒会の仕事についてもまだ詳しく聞かないといけないし、中条先輩=あーちゃんに教えてくれるとのことだが、なぜ深雪には名前で中条先輩には「あーちゃん」なのかが不明だ。俺の権限で取り締まるのもいいが、風紀委員のメンバーとしてなら、文句を言われても大丈夫だ。

あと俺らの権限と風紀委員の権限はほぼ同じと考えられる。風紀委員の主な任務は魔法使用に関する校則違反者の摘発と、魔法を使用した争乱行為の取り締まり。昨日のは俺の権限で取り締まったが、違反者に対しての罰則の決定権もある事を知っているしそれについては本来生徒側の代表である生徒会長と共に懲罰委員会に出席して意見を述べることも。つまり風紀委員は警察と検察を兼ねた組織である。俺は二科生ではあるが実技は隠しているし、実力は会長に風紀委員長である渡辺先輩と部活連会頭の十文字先輩のお墨付きである。俺のは魔法であって魔法ではないからか、この学校での魔法実技の評価基準に入ってないから二科生になったからかもしれない。 
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