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魔法科高校~黒衣の人間主神~

作者:黒鐡
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入学編〈上〉
  反対×挑発

夕方辺りになって下校時間ではあるが、俺と深雪は生徒会室へと行く。レオたちは「頑張れよ~」という感じで送り出されたからか、風紀委員になっても問題はなさそうだけどあの副会長は反対しそうだな。あとは今後の展開としては模擬戦になるんだと思うが、一応CADをホルスターで左右の胸にあるが。属性使いでもある。属性はあるゲームで使われているタイプだ。炎、風、地、水は精霊術者と呼ばれているが、生憎この世界にはエレメンツ使いの末裔がいるくらい。それにこの力は俺が思った事を現実に出来る力だ。とまあこんな感じではあるが俺と深雪は生徒会室へと向かっている。IDカードを認証システムへ登録済みだからかそのまま生徒会室に入る。

「失礼します。織斑一真です」

「織斑深雪です」

「織斑?」

昼休みにいなかった服部副会長だった。入学式後に俺に睨んで来て、死神の眼を発動してしまうところだったからよく覚えている。

「妹・深雪の生徒会入りと私の風紀委員入りについて伺いました」

小さく風紀委員と呟いた副会長は、俺が二科なのか左胸には何もないのを見た後に素通りして深雪に声をかけた。

「副会長の服部刑部です。深雪さん、生徒会へようこそ」

と挨拶をしてから、くるりと向かいさっきまでいた位置に戻ったが。深雪には丁寧な挨拶で俺はシカトか、いい度胸だなこの小僧は。と思ったが、今は副会長より学年は下なので思い留まったけど。俺の眼と後ろにいる護衛の様子を見た会長と渡辺先輩は少し冷や汗をかいていた。あとは深雪の苛つきもあったがすぐに収まったが。で、気安い挨拶が飛んできたけど。

「よっ、来たな」

「いらっしゃい、深雪さん。一真君もご苦労様」

まあ会長にとっては身内扱いだけど、まさか渡辺先輩も軽い挨拶とは。気軽に手をあげた渡辺先輩にナチュラルに違いを見せた会長。

「早速だけど、あーちゃん、お願いね」

「・・・・はい」

中条先輩の呼び名は既に諦めているのであろう、一瞬哀しい顔をするが笑顔を見せて深雪を壁際の端末へ誘導した。護衛の沙紀と共に。

「じゃあ、あたしらも移動しようか」

入学して三日目か四日目にして、話し方が変わっているような。まあ入学式前に資料として見せた実年齢もあるが、入学して2日目で技量を見てくれたからなのか。

「移動とは?」

「風紀委員会本部だよ。色々見てもらいながらの方が分かりやすいだろうからね。生徒会室の真下が行くところだ。中で繋がっているんだけど」

「ほう。変わった作りなのですね。この学校をスキャンしたときもそう思いましたが」

「おやこの学校内をスキャンしたのかい?どういう仕組みなのかは後で聞きたいくらいだ」

そう言いながら席を立ちドアのところへ向かう渡辺先輩。行こうとしたところで制止が入った。

「渡辺先輩、待ってください」

呼び止めたのは予想通りというか、服部副会長だった。そういえば七草のところにいる真夜からの話だと、俺らの権限で捕まえたときにはいなかったと聞く。おそらく俺の本当の実力や権限とかは知らされていないのだろう。蒼い翼関連についても。

「何だ、服部刑部少丞範蔵副会長」

「フルネームで呼ばないでください!」

こいつのフルネームの間に官職付いているのか。データでは知っていたが服部といえば戦国時代にいたあの服部を思い出すが、まさか同性同名とは。小波に言ったらどういう反応になるのかな?と思ったが言わないでおいた方が正解だな。

「じゃあ服部範蔵副会長」

「服部刑部です!」

「そりゃ名前じゃなくて官職だろ。お前の家の」

「今は官位なんてありません。学校には『服部刑部』で届が受理されています!・・・・いえ、そんなことが言いたいのではなく!」

「お前が拘っているんじゃないか」

「まあまあ摩利、はんぞーくんにも色々と譲れないものがあるんでしょう」

会長にだけは怒らないんだな。これは興味深いデータだ。そして顔に昇った血の気がひくのが分かる、そして落ち着いてから改めて発言をした。

「渡辺先輩、風紀委員の補充の件です」

「何だ?」

「その一年生を風紀委員に任命するのは反対です」

冷静に感情を押し殺して、副会長が意見を述べる。渡辺先輩が眉を顰めたのは、演技でもないようで。表情が意外感なのか、ウンザリをしているのかは知らんが。

「おかしなことを言う。織斑一真君を生徒会選任枠で指名したのは、七草会長だ。例え口頭であっても、指名の効力は変わりはない」

「本人はまだ受諾していないと聞いております。本人が行け容れるまで、正式な指名にはなりません」

「それは一真君の問題以前の問題だ。服部副会長が知らないだけで、既に本人は受諾しているしある人物からの要望でもある。それを受諾した時点で決定権は君ではなく彼である」

渡辺先輩は俺と服部副会長を交互に見ながら言う。それにある人物というのはオフレコだからか、それ以上は言わない。副会長は俺を見ようとはしない、まあ情報は副会長の耳には入っていないのだろう。渡辺先輩と副会長を見る市原先輩は冷静にしていて、中条先輩はハラハラしながら、そして会長は感情の読めないような表情をしている。深雪は神妙な顔で壁際に控えているが、いつ爆発するのか分からないが、台本通りに言ってくれるだろ。

「過去、ウィードを風紀委員に任命した例はありません」

「それは禁止用語だぞ、服部副会長。風紀委員会による摘発対象だ。委員長である私の前で堂々と使用するとは、いい度胸だな」

渡辺先輩の叱責と警告との両方とも言えるセリフだ。まあ俺らの権限でもそのキーワードは摘発対象となっている。護衛も少し怒り気味だ。

「取り繕っても仕方がないでしょう。それとも、全校生徒の三分の一以上を摘発するつもりですか?ブルームとウィードの間の区別は、学校制度に組み込まれた、学校が認めらるものです。そしてブルームとウィードには、区別を根拠付けるだけの実力差があります。風紀委員は、ルールに従わない生徒を実力で取り締まる役職だ。実力に劣るウィードには務まらない」

まるで傲慢とも言えないようなセリフを長々と言った副会長。

「確かに風紀委員会は実力主義だが、実力にも色々あってな。一真君は特例として取り締まる権限を持ち、魔法を使った相手でも取り押さえる事が出来る対人戦闘のエキスパートだ。それと展開中の起動式を読み取り発動される魔法を予測する目と頭脳もある」

「対人戦闘のエキスパート?それに起動式を読み取るだって!?基礎単一工程の起動式だってアルファベット三万字相当の情報力があるんですよ。それを一瞬で読み取る事ができるはずがない!」

予想外の言葉を聞かされて、副会長は反射的に問い返した。予想外というより信じられないと言った方が早い。対人戦闘のエキスパートもだが、起動式を読み取るという事が信じられないのだろ。そんな事はできるはずがない「常識」である。

「つまり彼は起動式を読み取り、魔法が発動されたとしてもどのような対処ができるのかも分かるのだよ。当校のルールとしては、使おうとした魔法の種類、規模によって罰則が異なる。入学式2日目で新入生同士の争いも彼の権限で取り押さえ、罰則をした。まあそれは後で言うとして真由美みたいに魔法式発動前の状態で起動式を破壊してしまうと、どんな魔法なのか不明に終わる。ただ展開を完了を待つのも本末転倒だ。起動式を展開中の段階でキャンセルできれば、その方が安全だ。一真君も2日目のときにそうやった。彼は今まで罪状が確定できずに、結果的に軽い罰で済まされての未遂犯抑止力になる」

「・・・・しかしですね、いくら対人戦闘のエキスパートでも相手は魔法師です。違反の現場にいたとしても、魔法の発動を阻止できるのは不可能に近いかと」

「そんなもんは一科の一年生も変わらんだろうし、二年も同じだ。魔法を後から発動して、相手の魔法の発動を阻止できるスキルの持ち主は何人いるというのだ?それに私が彼を委員会に欲する理由はもう一つある。今まで二科の生徒が風紀委員に任命されたことはなかった。それはつまり、二科の生徒による魔法使用違反も、一科の生徒が取り締まってきたということだ。君の言う通り当校は、一科生と二科生の間に感情的な溝がある。一科の生徒が二科の生徒を取り締まり、その逆は無いという構造は、この溝を深めることになっていた。私が指揮する委員会が差別意識を助長するというのは、私の好むところではない」

それはそうだろうな。俺みたいに魔法を発動を阻止できる人間は少ないし、例え発動を阻止できたとしても逃走して周りにいる仲間が妨害により未遂犯となる。例えば車での犯罪で犯人が乗る車が逃走を図ってパトカーが追跡をする。追跡中に仲間が逃走を援助するかのように、妨害して逃走犯を逃がす。そして援助した奴も追跡不可となる。だが、逃走犯が未遂のままで終わるはずがない。犯人の痕跡やナンバーで追跡をすればいつかは捕まる。魔法の未遂犯にも魔法の痕跡を残したまま逃げるから、俺はその痕跡を調査したあとに未遂犯である者を逮捕できる。とまあそんな感じだ、渡辺先輩が言ったあとに副会長は七草会長に向かう。

「会長・・・・私は副会長として、織斑一真の風紀委員就任に反対します。渡辺委員長の主張に一理あることは認めます。が、風紀委員は校則違反の鎮圧と摘発です。魔法力の乏しい二科生に、風紀委員は務まりません。この誤った登用は必ずや会長の体面を傷つけることになりますので、どうかご再考を」

「待ってください!」

俺は振り返りながらも、いいタイミングだなと思った。それにいくら副会長が言い切っても実力を見せれば問題はない。

「僭越ですが副会長、兄は確かに魔法実技の成績が乏しくありませんが、それは実技テストの評価方法に兄の力が適合していないだけの事なのです。実戦ならば兄に勝る者などおりません!」

確信に満ちた言葉に、渡辺先輩も七草会長も真面目な眼差しを向ける。深雪の言う通りこの学校での魔法実技には俺は合っていない。だが副会長は真剣味が薄いように深雪を見る。

「織斑さん。魔法師は事象をあるがままに、冷静に、論理的に認識できなければなりません。身内に対する贔屓は、一般人ならやむを得ないでしょうが、魔法師を目指す者は身贔屓に目を曇らすことのないように心掛けなさい」

あーあ、俺知らねえぞ。ここにいる護衛の者も発言には力を持っている。それに俺は魔法師ではなく属性使いや超能力者に近いところだ。誰も魔法師を目指すとは一言も言っていない。あとは俺の親友である達也が聞いていたら官職も剥奪だろうな。

「お言葉ですが、私は目を曇らせてなどいません!お兄様の本当のお力を以ってすれば・・・・」

「深雪」

と言って手をかざす。そこまでだという感じではあるが、冷静さを無くしていた深雪だが正直台本通りに進んだと俺は思う。俺は静かに副会長の目の前まで来た。

「服部副会長、俺と模擬戦しませんか」

「思い上がるなよ、補欠の分際で!」

俺が言ったことにより、会長と渡辺先輩は真面目なままだが、俺の実力は知っている。逆に騒いだのは中条先輩くらいか。罵倒を受けた本人である俺は苦笑を浮かべた。

「何がおかしい!」

「先ほど仰ったではありませんか。魔法師は冷静を心掛けるべき、でしょう?」

「くっ!」

自分のセリフをそのままお返しされて悔しげにに息を詰まらせた。

「それに対人戦闘のエキスパートだと言いましたが、それが本当かどうかは御自分で確かめた方が早いと存じ上げますが。私の権限を使って取り締まる事もできますが、風紀委員に入ればそれが目立たなくなるだけどのことであり、妹の目が曇っていないと証明をするべきだと私は思います」

独り事のようにつぶやいた俺であったが、副会長には余計挑発されていると思ったのだろう。

「・・・・いいだろう。身の程を弁えることの必要性を、たっぷり教えてやる」

「生徒会長の権限により、2-B・服部刑部と1-E・織斑一真の模擬戦を、正式な試合として認めます」

「生徒会宣言に基づき、風紀委員長として、二人の試合が校則で認められた課外活動であると認める」

「時間はこれより三十分後、場所は第三演習室、試合は非公開とし、双方にCADの使用を認めます。といっても一真君は常備していますけど」

模擬戦を、校則で禁じられている暴力行為または喧嘩沙汰としないための措置。会長と渡辺先輩が厳かに形容して構わない声で宣言すると、中条先輩は慌てて端末を叩き始めた。最後の方に会長が言ったが俺は常備しているから、まあカモフラージュとして持っているけど、さてどう料理しようかね?サイオンの波で酔わせるのもアリだが、せっかくの模擬戦だから属性をたっぷりと使おうかなと思った俺であった。 
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