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アラガミになった訳だが……どうしよう

作者:アルビス
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原作が始まった訳だが……どうしよう
  39話

「で、お前は一体何をしにエイジスまで行ってきたんだ?」
「人生相談?」
……原作通りにアリサ達からエイジス計画改めアーク計画の情報は送られ、ユウの部屋に集まり第一部隊全員の知るところとなったのだが、一言原作と違った言葉が付け足された。
「おじさん、イザナミさんにお説教を忘れないで下さいね」
ふむ、こいつは一体何をやらかしたんだ?
「やらかしたなんて酷い言い方だね、私は二人が逃げるのを手伝ってあげただけなのに」
「ほぅ?どうやって手伝ったんだ?」
「床に穴開けて」
頭が痛くなってきた……いや、転落死などはゴッドイーターなのだから何かに捕まるなりなんなりで大丈夫だろうが、十中八九こいつの事だなんの前振りもなくやったんだろう。そもそも、こいつに常識を要求するのは無茶というものだろう。
「そうだね……でもさ、私はそんなのどうでもいいんだよ」
どうでもいいときたか、機嫌でも悪いのか?
「そういう訳じゃないんだけどさ、今はそれより聞きたいことがあるんだよ。マキナってどうして人間を守るの?」
む?イザナミらしからぬ質問だな……そうだな、人間というよりは俺と関わった人間ってのが正解かもしれないな。少し極端かもしれないが、俺はこのアナグラにいる人間さえ生き残ればそれでいい。
言い方としては悪いが、俺の手の届かない範囲で見知らぬ誰かが死んでも俺はなんとも思わない。流石に見知らぬ誰かでも助けられた人間を助けられないのは嫌だがな。
それで理由だったな?理由は簡単に言えば嫌だからだ。それ以上の理由はないし、人助けの理由なんてそんなものでいいだろ?
「そこがよく分からないんだよ、私はマキナ以外にそう思える相手がいないからかもしれないんだけどさ。マキナはさ、その見知った人間全てを愛しているのかな?
もしそうなら納得はできるけど、マキナの見知った人間全員を今すぐ切り刻まなきゃ私の気が済まないよ。嫉妬って感情らしいね、これって」
物騒だな……愛しているかと聞かれれば違うと答えるが、嫌っているかと言えば違うとも答えるんだよな。
「どういうこと?」
そうだな、仮にだカノンがお前の目の前でアラガミに喰われたとしよう、お前がどうする?
「そりゃそのアラガミをやれるだけの全ての方法で殺すよ?あの子が死んだらマキナが悲しむでしょ?
それ以降マキナが悲しまなくなるならそれでもいいけど、他にも死んだらマキナが悲しむ人がいるんだからそのアラガミは何の意味もなくマキナを傷付けたって事だから許さない」
まぁ後半は聞き流すとして、要するにはカノンには死んで欲しくないってことだよな?
「まぁそうだね」
理由としては俺が凹むからだが、もっと端的に言えばお前の理由も嫌だからだろ?違うか?
「あー……うん、確かにマキナが悲しむのは嫌だっていうのが理由の根本だね」
だろ?俺の理由もそれと大差ない。
「ふーん、じゃあいいんだけどさ。マキナ、何考えてるの?
前までは終末捕食、というか私をどうやって止めるかを考えてたのに、今じゃそのことを全く考えてないよね。私の考えを認めてくれたの?」
あー……それに関しては俺の打てる手は打ったから、これで通らなきゃ諦めるかってところだ。
「あれ?最後は私を殺すとか考えてたんじゃないの?」
……お前、俺の心を読んでおいてそれを聞くのか?
「ごめんなさい。この質問はするべきじゃなかったね……」
少しの間、イザナミとの間で沈黙が続いた。事実、先程の質問には本気で腹を立ててしまったのだから仕方がないと言えばそうなのだろう。
「けど、本当にマキナはどんな手を打ったの?いくら読んでもそれっぽい事は出てこないんだけど?」
お前に読まれないように散々頭を捻ったんだ、今のお前じゃ分からんよ。それに今バラしたら全部台無しだ。
「ちぇ、私を止められるとは思えないけど頑張ってね」
「はいはい、頑張らせてもらいますよっと」
俺はそう言って立ち上がり、神機整備班に用事があったので部屋を出る。



「あれ?マキナさん?珍しいねここに来るなんてさ」
さて、俺が会いに来たのは整備班というよりは彼女、橘リッカに会いに来たというのが正解だ。彼女はその技術も信頼できるのだが、シオの服を作ったということもありサカキから色々と教えられている人間で、俺の招待を一々説明する必要がない。
まぁ、シオのともかく俺に関しては俺の神機の様子から薄々は勘付いていたらしいな。彼女曰く傷が無さすぎる、だそうだ。
「まぁな、ただ今回は頼みたいことがあってな」
「私に?」
「ああ、多分技術者としても喜んで貰える依頼だ」
「へー期待させてもらうよ」
俺はリッカの前で左腕を具足に変化させて、具足の装甲部分を全て外す。その鈍く輝く、恐らく俺が知るあらゆるアラガミの中で最高の硬度を誇る装甲を、リッカに見せるように彼女の前にぶら下げる。
「アラガミ数千体分のオラクル細胞を使って生み出した俺の武器だ、これを神機に加工してみたくはないか?」
「い、いいの!?」
「ああ、ただしこれで作るのはカノンのブラスト型神機だ。それに多少の機能を付けてくれればいい。この条件さえ認めてくれるならこれを渡そう、どうだ?」
するとリッカは一瞬考える素振りを見せたが、すぐに考えは纏まったらしくはっきりと頷いた。
「追加する機能次第だけど、それさえ聞かせてもらえればいいよ」
俺は彼女にその追加機能について話すと、納得がいったというような表情を浮かべて了承してくれた。どうやら彼女も俺と似たような事を考えていたらしいが、その条件を満たす素材が無く断念していたらしい。
「それにしてもマキナさんって子煩悩だね」
「子煩悩?俺が?まだ未婚なんだがな……」
「だって、カノンさんの為にわざわざ自分の素材を私にくれるんだよ?それ、大事な物だったんでしょ?」
「まぁな、かなり長い世話になってたしな」
「それにマキナさんって見た目より大分落ち着いてる印象もあるし、カノンさんの話を聞いてるとお父さんか叔父さんみたいだしさ」
「そりゃな、カノンは赤ん坊の頃から見てんだ。そういう態度にもなるさ」
いやはや、そう考えると俺も年をとったものだな。この体は衰えがない事もあって、イマイチ年齢がどうこうって意識することが少ないんだ。
そろそろ退職依頼を出してもいい頃じゃないのだろうか?退職して世界をのんびりと旅をするのもいいかもな。
前に飛び回ってた頃に分かったんだが、気候にはそこまで大きな異常はないようだったし南の島でバカンスなどもいいかもしれない。
いや、北へいってオーロラを見に行くというのは……キュウビがいない事を確認してから行こう。
実際考えてみれば働きすぎだろ……文字通り世界を飛び回ってたからな。それに今後の展開的にも俺はいなくても大丈夫だろ。
リンドウの話はユウが勝手に片付ける話だし、2だと俺が関わった人間は話の本筋には関係しないから放っておいてもいいだろう。
うむ、では豊かな余生のためにも終末捕食は全力で乗り切らせて貰うとしよう。下手な三文芝居よりも馬鹿馬鹿しい終わり方かもしれんが、俺にはイザナミを止める方法などたった一つしかないだよ。














 
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