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アラガミになった訳だが……どうしよう

作者:アルビス
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原作が始まった訳だが……どうしよう
  38話 イザナミ

アリサちゃん達がいつかのディアウス・ピターを倒したらしいね。その証拠にマキナの記憶にあった通り、サクヤの部屋でユウ君、アリサちゃん、それとサクヤがアーク計画の一端をリンドウの残したデータを見てる。
全くバカな計画を考えたものだよ。宇宙に逃げるのは結構だけど、生命の再分配にどれだけの時間がかかるかも知らないでさ。
シャトルに詰める物資だけで一体どの程度生活できると思ってるのかな?ノヴァが全ての生命を喰らい尽くすのは一瞬だろうけど、あらゆる生命をもう一度再構成しなきゃならない。
再構成が植物とかだけだったら簡単だろうけど、意思のある生命まで作ってそれを何万、いや何億まで作らなければならないんだよ?
それが終わるまで宇宙で待とうと思えば、アーコロジーとして機能しているアナグラをそっくりそのまま打ち上げる位しないとね。
まぁ、そんな事はどうでもいいんだよ。私はあの人間、シックザールに聞かなければならないことがある。
マキナの思考を知ることができても、理解ができない私はあの人間に問わなきゃいけない。安寧を避けて、自ら苦難の道を進むその理由を。
私はマキナと共にありたいし、彼を苦しめるあらゆる存在が許せない。しかし、本当に私は彼の役に立てるのだろうか?
その疑問を解決するために、シックザールに会おう。
私は部屋を出て、サクヤの部屋にいるアリサちゃんとサクヤに会いにいく。案の定、二人はエイジス島に潜入する話をしていた。
「二人とも、何話してるのかな?」
二人の視線が私に集まる。そんなにびっくりすることはないと思うんだけどな……
「イザナミさん……聞いてたんですか?」
「ん?何のことかな、アリサちゃん」
「タイミング的に絶対聞いてましたよね?」
「んー?」
「聞いてましたよね?」
「こらこら、そんな怖い顔したらユウ君に嫌われるよー……まぁ聞いてたんだけどさ」
もう、そんな引きつった笑顔でにじり寄らなくてもいいのにさ。お姉さんのお巫山戯くらい流そうよ。
「で、イザナミさん、私達をどうするんですか?」
「そんなに信用ないかな、私…… まぁいいやエイジスに入るんでしょ?付いてきなよ、案内してあげるよ」
「……どういうつもりですか、イザナミ少尉?」
どういうつもりって……日本語が理解できないのかな?それになんで二人ともそんなに私を疑うの?
「別に私は私でシックザールに用事があるからね、そのついでだよ。それにしても二人とも疑り深いね、私なにかした?サクヤはあんまり話した事ないから分かるけど、アリサちゃんはなんでさ?」
「いえ……イザナミさんがおじさん関係以外で真面目な事をするイメージが無かったんで、からかいにきてるんじゃないかって」
うーん、いや確かにマキナの事以外は割とどうでもいいけど、私ってそういう巫山戯た女って扱いなんだ……自業自得といえばそうなんだけど、アリサちゃんは割と普通に接したと思うんだけどな。
「それは置いておいて、付いてくるの来ないの?」
「イザナミ少尉……いえ、イザナミさん、信じていいんですか?」
……一体何度確認するのかな?
「私が君たちを排除しようと思ったなら、罠なんて使わず正面から殺せばいいだけだよ……ってそんなに怖がらないでよ、泣いちゃうよ?」
そりゃ少しはイラついたからちょっと怒ったけどさ、そんなにどうやって逃げようか考えているような焦った表情されるとちょっと凹むな……




とりあえず、エイジスへ通じている地下トンネルの入り口までついたね。やっぱりここまでの警備はザルだね、ゴッドイーターだってことを明かせばここまではすんなり来れた。
「イザナミさん、この分厚い耐アラガミ装甲をどうやって超えるんですか?これって多分相当厳重なロックがかかっているでしょうし、到底ここからじゃ入れないんじゃ……」
分厚い?ああ、まぁそうだけどさ、ゼリーをどれだけ分厚く作ってもスプーンが折れるなんてことがないように、この程度なら何の問題もないよ。
「サクヤ、アリサちゃん、ちょっと下がってて」
「えっ、はい」
「一体何を?」
「いいから、サクヤ、そこにいたら潰れちゃうよ」
さてと……使う腕は百くらいかな?根の国応用編、形状は剣、密度を最高数値まで圧縮、それを繰り返すこと二十、構え……ほいさ!!
うん、予想通りに綺麗に斬れたね。まるで積み木みたいにきれーにバラバラだよ。
「……本当にあなたが敵じゃなくてよかった」
「うーん?サクヤ、何勘違いしてるの?私はマキナ以外の味方になった覚えはないよ?」
「それでも、結果としては私達の助けになっているんですから、味方ですよ」
そういうものなのかな?人間って本当によくわからないな。
「さてと、それじゃあ行くよ」
エイジスへと続く地下トンネルは、点々と灯りがある程度でおよそ人が通るような雰囲気じゃないね。実際、機械がいろんな作業をやってるんだからこんな物なんだろうけど、後ろの二人は周囲を警戒しながらゆっくり進む。
「この辺りは警備用のロボットもいないから警戒しなくれていいよ」
「どうしてこの辺りにいないって分かるんですか?」
「そりゃこのトンネルの終わりまで見ても何もないし、私達以外に何かが動く音がしないからだよ」
「そこまで見えてるんですか……本当に凄い感覚ですね。それっておじさんもそのくらい凄いんですか?」
マキナ?そうだね……マキナは偏食場パルスが使えない代わりに、人間の五感を特化させたから多分私よりはこういうのは上かな?それに戦い方も視覚とか重視だしね。
「マキナはもっとすごいんじゃないかな?比べたことないけど、戦い方がそういう感覚重視だから、多分私より上だよ」
「そ、そうですか……」
「だから、ユウ君とイチャイチャするならマキナのいない時にね」
「なっ!?何を言ってるんですか!?わ、私がり、リーダーと!?」
あはは、顔真っ赤だ。うんうん、そうやって感情は表に出すのがいいよね。
「わ、私はリーダーをそ、尊敬しているのであって……」
「あら?ユウの為に料理を作りたいので、料理を教えて下さいって私の所にきたのは誰かしら?」
「サクヤさん!?なんでそれをバラすんですか!?」
「へーそーなんだ……うーん、恋する乙女の健気な努力だね」
「あーもう!!今はそんな話はいいです!!」
「はいはい、頑張ってねー」
うーん、アリサちゃんは打てば響くタイプだね。面白いように反応してくれるし、見てて飽きないな。
こういうのを見ているとマキナが人間が好きなのも分かるんだけど、どう考えたって人間はマキナより先に死んでその分マキナが傷つくんだよね。差し引きとしてはいなくなった方がいいんだよ。
まぁ、それは最後に一気にやっちゃうから今はどうでもいいことなんだよね。
それにしてもここまでなんの行動もないって事は、こっちに気付いた上で放置してるってことか……無駄な消耗を恐れてなのか、それとも殺されない自信があるのかどっちだか知らないけど腹立つな。



ここが中心部だね?……にしてもここは煩くて仕方が無いな。ノヴァの声が頭に響いて鬱陶しいよ、少し黙って欲しいんだけど……やっぱりシオ同様上位種の偏食場パルスは防ぎようがない、か。
「警備がここまで手薄なんて……どういうことなの?それにこれは一体……」
「ようこそ、エイジスへ」
ふーん、わざわざそんなリフトに乗って出てくるなんて、奥さんだった物を眺めてでもいたのかな?
「支部長……やはりあなたが!?これが一体どういう事ですか!?」
「最初の疑問に答えるならば、君達二人ならお帰り願いたかったのだが、そこのそれがいるなら話は別だ。ここの警備などなんの妨害にもなりはしない。
それがいたのなら彼の用意してくれていた手筈は無駄になったのではないかね、サクヤ君?
監視プログラムに一時的な不備が僅かに発生したのでもしやとは考えたのだが……エイジスのプログラムに穴を開けるとは、彼は実に惜しい人材だったよ」
へぇー、私をそれ呼ばわりか……まぁいっか。種族からして違うんだから別段気にする事でもないしね。
「戯言を!!あなたがそう仕向けさせたのね!?」
「ああ、そうだ。あのタイミングで彼によってアーク計画の内容が漏れてしまっては困るのでね。先に手を打たせて貰ったよ。
アラガミが起こす終末捕食により、この星の生命は全て滅ぼされ、ゼロから再構築される。その新たな世界に人類という種族を残す、それが箱舟(アーク)計画だ。
しかし、残念なことに箱舟の席は限られている。ならば、そこには真に優秀な人間のみが座るべきではないかな?」
はぁ……私にとっては本当に今更な話だね。でも、この二人への解説の手間が省けると考えて我慢しよう。
あ、そうだ、今度マキナに食べてもらうものでも考えてとこ。今度は和風かな?それとも洋風にしようかな?
「で、その人間はあなたとあなたによって選ばれた人間だけってことね」
「他に適任が?さて……君達は少々知り過ぎた。よって、ここで消えてもらうとしよう」
でも、意外な所でデザートバイキングみたいにするのも悪くないかも。マキナの事だし私も一緒に食べろって言うんだから、ちょっとくらい私の好みで作ってもいいよね?
「やあ、久しぶりだねアリサ。できればあのまま眠ってくれればよかったものを……」
「オオグルマ……先生……」
「そんなに殺し足りないなら、また手伝ってあげよう」
あ、そうだ、チョコは普通に売ってるしチョコをメインにしよっと。
「アジン」
うん、確かビター系もあったしマキナも喜んでくれるよね。
「ドゥヴァ」
そうしよ、よし夜はチョコパーティーだね!!
「トゥ「うるさい!!」ぎゃあああ!?」
「イザナミさん!?」
「まったく……人が考えている近くで大声でうるさいんだよ。それにたかだか右腕を握り潰した程度でギャアギャア、ギャアギャア煩い。とっとと私の視界の中から消えないさい。
ただでさえここは煩くてイライラする場所だっていうのに……あー、アリサちゃん、サクヤ話は終わったよね?ちょっと雑だけど、ここから逃がしてあげるよ」
「え、ちょっとイザナミさん、どういう事ですか!?」
私は大きく片足を振り上げて、アリサちゃん達がいる床に全力で踵落としを当てる。するといい感じに床が抜けて、二人はそのまま下へ落ちていった。
あの二人なら転落死する前になんとか助かるだろうし、正直これ以上グダグダ話が続いていたら私の苛立ちが限界に達しただろう。
「ふむ、これは礼を言った方がいいのかな?」
「何言ってるの?私は私の用事を済ませるために、あの二人をここから追い出しただけだよ」
「ほう?君の用事か、それは私に関係があるのかい?」
「ええ、君に聞かなきゃならない事が幾つかある、質問への拒否権は……分かってるよね?」
「……ああ、私もここで死ぬわけにはいかないのでね」
「そう、それはよかった。じゃあ、聞くよ?どうして君は自分から死ぬ道を選んだの?」
「……君は誤魔化せないということか。確かに私の席はアーク計画にはない、計画の完遂と共に私は死ぬ。人類にそれだけの犠牲を強いた私は……」
「建前はなんだっていいよ、言い方を変えよう……君はどうして生きようとしないのかな?」
私のその言葉に一瞬彼の表情に何かしらの感情が浮かんだ。そして、すぐに自嘲気味の笑みを浮かべて自虐的に答えた。
「そうだな……アイシャを失った時から私はどこか、生きようとする意思が消えたのかもしれないな」
「ふーん、じゃあどうしてアーク計画なんて面倒な事考えたの?生きる意思がないなら適当に死んじゃえばいいじゃない」
「いや、だからこそ、私はアーク計画を行うのだよ。私は人間の可能性を信じ、人間という種を愛しているそしてその上で自分の命に対して執着もない……アーク計画を進めた大罪人となるには私程の適任はいないだろう」
「自己犠牲ってやつかな?そっか……愛する者の為に自分の全てを捧げる、それが人間か……これも愛情の一つ、か。
ねぇ、最後にもう一つ。どうしてソーマ君に優しく接してあげないの?」
「ソーマか……私のような汚れきった親は子供から憎まれるほうがいいのだよ。それにアイシャすら犠牲にした私にはソーマを愛する資格などないさ」
「……そっか。それも自分の感情を殺す自己犠牲なのかな?……うん、ありがとう。多少は役に立ったよ、じゃあね」
「おや?私を殺さないのか?」
「ふふ、君は私の役に立ったから、殺さないであげるよ」











 
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