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ソードアート・オンライン リング・オブ・ハート
9:皮肉
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らない、年頃のあんなに可愛い子なのに……」

 アスナの言葉に、再びマーブルから苦笑が漏れる。

「気持ちは分かるわ。あの子も、あの歳でちゃんと狩りに日々出かけてはコルをしっかり稼いで、キチンとここの宿泊費も払ってる。それでも服の一つも買おうとしないのは……たぶん、私に原因があると思うの。……私が、あの子の武器を鍛えたから……」

「武器を鍛えた……? どういうことなんですか?」

 俺が問うと、マーブルはウィンドウを操作して、スキルウィンドウを此方に可視可能設定にして見せてきた。

「見て。私のスキル構成よ」

 俺は視線で本当に良いのかを尋ね、頷きが返って来てから見る。
 彼女のスキル構成は、まず宿屋の店主の名に恥じぬ《料理》《商業》系スキルが最も高く、次いで《鍛冶》スキル等が名を連ねていた。

「私の本職は宿屋だけれど、副業に鍛冶もしているの。半分は興味、もう半分は退屈しのぎで始めたんだけどね。……うーん、ユミルのあの姿の原因をちゃんと説明するには、私とあの子との出会いから話さなきゃいけないかしら」

 マーブルは腕を組み直し、思い返すように遠くを見つめた。

「もう半年くらい前かしらね……ここに宿を構えて、そう経ってなかったわ。食材の調達をしに村入り口近くまで出かけていた時、村のすぐ外から誰かが戦闘をしてる声が聞こえてきたの。見てみれば、門のすぐそこまでジワジワと追いやられながら、三体の手強そうなモンスターを相手に、たった一人で武器を手に戦ってるフードを被った子供が居たわ。それを確認した瞬間、子供は敵から打撃をモロに喰らって、私めがけて吹き飛んできたの。私は慌てて駆け付けてその子を受け止めたわ。村の中に吹き飛んだから、モンスター達はその中に進入できずにすぐ退散していったけど……その子のHPは、レッドゾーンまで追いやられてた。しかも手に持ってた武器は酷くボロボロで、さっきの一撃で柄から真っ二つに折れてたの。すぐにその武器はポリゴンになって消滅しちゃって……それを見たその子は、吹き飛んだ時に脱げたフードに気付かないまま、体を震わせて大泣きするのを必死に我慢してた……。それが、私とユミルの出会いだったわ」

 その語り口調からは当時の壮絶さが生々しく伝わって来て、俺達は息をするのも忘れ、その話を聞き続けていた。

「私はその子を宿へ運んで介護したの。それで、何故かしらね……あの子に渾身の武器を打ってあげたいと思った時には、既にハンマーを振るってた。出来た武器をその子にあげた時……「いらない」「お金が無い」ってまくし立てられて拒否されたけど、この時ばかりは強引に持たせたの。……それからユミルは、今日までずっと、私へ武器代だと言ってコルを日々納めているの。お代なんて要らないと言っても、頑なに聞いてくれなかった。受け
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