暁 〜小説投稿サイト〜
魔法科高校の神童生
Episode23:アホの娘
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「いや、本当に感謝するよ隼人くん」

「いえ、友達を助けるのは当たり前のことですから、お気になさらず」

豪華な屋敷の豪華な一室、恐らく応対室なのだろうその部屋で、隼人はいつもより控えめな笑みで返した。
隼人の前に座っている人物は、企業の経営者として有名な『北方潮』であり、雫の父親の『北山潮』だった。
昼頃になってやっともそもそと起き出してきた雫に事情を説明して昼飯をとってから、隼人は雫を家に帰しに北山邸へと訪れていた。最初は隼人は雫を家の前まで送ったらそのまま帰るつもりだったのだが、たまたま運悪く潮が玄関から出てきてしまったのだからそうはいかない。娘の恩人を潮が逃すはずもなく、現在に至る。

「君の話は櫂から聞いているよ、やはり頼りになるね」

「いえ、僕なんてまだまだですよ。そもそも、僕は一度まんまと敵に騙されて雫さんを更に危険な目にあわせて遭わせてしまっています。不甲斐なくて申し訳ない」

人の良い笑みを浮かべて賞賛を送ってくる潮に隼人は微妙な表情を浮かべて否定を返した。
だが潮はそんな隼人の姿を見て声を上げて笑った。

「いやすまない。君が、年と外見の幼さの割にはしっかりしているのに驚いてね」

「顔が幼く見えるというのはよく言われますよ、まあ、そのお陰で意表をつけたりできますから、そう悪いものではないですね」

隼人が穏やかな笑みを浮かべるのを見ると、潮は満足気に頷いて立ち上がった。

「ふむ、これからも、雫のことをよろしく頼むよ隼人君」

「はい、任せてください」

久し振りの丁寧な口調。魔法科高校に入学してから忙しくなって、他の名家との交流が少なくなったため、隼人の別の顔である『紳士モード』はなりを潜めて居た。
しかし、ブランクによる大した影響もなかったため隼人は密かに胸を撫で下ろしていた。幼い頃に叩き込まれた教育は最早脳と体が覚えてしまっているようだった。

「それでは、僕はこれで」

「ああ、いつでも遊びに来なさい」

まるで小学生とその友達の親との会話みたいだ、と隼人は内心笑みを浮かべた。それを表情に出さないのは、やはり教育の賜物か。
潮に一礼をして、隼人は北山邸を後にした。



「さて、これからどうしようか」

適当に付近をブラついて少し、暇を持て余した隼人はこれからの行動に思考を巡らせた。
今日と明日は休日。故にゆっくりできる時間が多いのだが、なんだかんだ言って騒がしい学校生活を楽しんでいる隼人に、この二日間の休日は暇でしかなかった。

「ん?あれは…」

行き交う人の中、いつもより世界の心眼(ユニバース・アイズ)を押さえ込んでいる中で一際輝くサイオンの波動。間違いなくそれは魔法師のものであり、そして隼人はその波動に見覚えがあった。

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