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SAO−銀ノ月−
第六十一話
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刺さる。

 反応出来なかったということではないが、避けられなかった。動きが止まってしまった……いきなり刀身が吹き飛んで銃弾になるという、日本刀を馬鹿にしてるようなギミックを前にして。

 いきなりの出来事に呆然としていたが、飛んでいった際の衝撃と今現在道路に突き刺さった刀身を見ると、ただのドッキリではない威力を秘めていることが分かる。しかも刀身が無くなった柄からは恐ろしいことに、新たな刀身がニョキニョキと生え出て来ていた。

 レプラコーン驚異のメカニズム。

「想像以上だったわね……」

「……スイッチの方押すのが怖いんだが……」

 冷や汗を流した俺とリズとの話し合いの結果、スイッチの方は押さないように気をつけることに決定した。俺もリズも鍛冶屋というか鍛冶スキルを上げている者同士、このALO版《銀ノ月》に興味がない訳ではない。むしろ興味津々と言った方が確実に正しい。

 だが、あの刀身の弾丸を見た限りのドッキリではない威力、そして引き金よりも何が起こるか分からない、スイッチというのが非常に不気味だった。……自爆スイッチの可能性だって充分にある。

 流石にそんなスイッチを押す度胸は俺にはなく、そのまま俺が買ってきた防具に話は移った。

「しっかしあんた、SAOの時と同じ服買ってきたのね」

 スイッチを押さないように、注意深く日本刀《銀ノ月》を腰に差していると、リズが俺の服を見上げながら呟いた。確かに俺が買ってきて装着した防具は、SAO時と同じような和服の上に黒いコートという――ただし、シルフだからかところどころに緑色の光沢があるが――出で立ちである。

 自分としてはあまり服装には頓着していないし、否が応でもSAOのことを思い出してしまう服だが……あのデスゲームを生き延びたのだから、ゲン担ぎにはこれ以上ないものだろう。

 ……彼女から貰ったコートではないにしろ。

「まあ、な……それより、お前の服とか俺に頼むなよ」

「買うものがあったらメッセージ、って言ったのあんたじゃない?」

 正論すぎて何も言い返せないまま、買ってきたリズ用の防具と代金をトレードする。代金などいらないと思ったが、リズにそれを求めても結果は変わらないだろう、ありがたくトレードしよう。

「さーって、ショウキはどんな服を買ってきたのかしらー?」

 リズは鼻歌を歌いながら近くにある服屋まで歩いていき、さっさと着替えて服屋から戻って来る。なにせボタンを数回押すだけだ、そんな時間も手間もあるわけがない……が、戻って来るリズはちょっと不満げな視線を向けてきていた。

「……なんであたしもSAOの時と同じ服なのよー……」

 リズの姿は初期用の皮の服から、俺が買ってきた『出来るだけアスナがコーディネートしたもの
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