暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
記憶を綴じて ─フェンサー(T)─
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ことだけは理解できた。

 そしてそれは、俺が詮索していいようなことではないのだろう。

(これ以上は踏み込めないな。俺たちはあくまで他人同士のまま、偶然に時間を共有しただけ)

 ただ────次にこんな機会があったとしたら。

 世界を知らない無垢な少女の道案内として、少しだけ手を引くことをしてもいいと…………そんなことを考えていた。



「そろそろ帰らなくっちゃ。バーサーカーが起きちゃったみたい」
「ああ、じゃあお開きだな……見送りは必要か?」
「いいえ、結構よ…………うん、短い間だったけど今日は楽しかったわ、クロガミ。
 もしもまたこうして出会うことがあれば、暇潰しになら相手をしてあげてもいいかな」
「……そうか。楽しみにしてるよ」

 尊大な物言いも、特に不快に思うことはない。
 それも含めて彼女のなのだと、今日だけで分かっていたから。

 口から出た言葉も本心で、マスターとしてではなく個人として会えるなら、また話をしてみたいと思ったのだ。

「またな、イリヤスフィール」
「────────」

 少女は意外な言葉を聞いたような顔をして。

 いつかの夜に見た、流麗な仕草で挨拶をしてくれた。

「ええ、またお会いしましょう。それではごきげんよう、クロガミ」

 僅かな微笑を見せながら。

 別れではなく再会を望む言葉を残して、雪の少女は静かに去っていった。















──────────Interlude In──────────





 そこは紛う事なき戦場。

 武器を手に争い合う。死にゆく者には目もくれぬ。
 その場所では何よりも、人の命が木っ端のように軽く安い。

 中東のとある一国の元首が死に、予てから国家政府への不満を溜め込んでいた国民のフラストレーションが爆発。

 政府軍と革命軍の、国内間での争いが起こった。

 いずれ治まるだろうと事態を安易に見ていた他国は、事前に打つべき対策を取らなかった。
 基本スタンスを傍観に徹していた間に、中東各国に息を潜めていたテロ組織が戦争に加担。

 三つ巴の戦争へと発展する。

 テロ組織が武器を革命軍へ横流しし、政府軍は革命軍とテロリストの両方の相手をしなくてはならなくなった。
 戦争終結後の利権争いに目が眩んだ周辺国まで参加し始め、国際会議によって結成された連合軍も派遣されることになり、収拾などつかない大きな戦争になる。

 核兵器という最後の一線だけは未だ越えていないものの、いずれ遠くないうちに世界が人の住めない荒野となることは明白だった。



 一国の全ての土地が戦場と化したその一区画。

 とある街をまるご
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