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Fate/InterlaceStory −剣製の魔術師−
第二話 〜経緯〜
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「魔術師?……それってオカルト的な分野でよく出てくる魔法使いの事?」
「――厳密に言えば違うのだが……いや、そうだな。そう受け取ってくれて構わない」


 何か思うところがあったのだろうか。士郎は懐かしむように、苦笑しながらもおどけた口調でそう答えた。 この二人ならば話しても問題は無いだろう
 ――そう確信めいたものを感じていた。

 瞳をつむり、今となっては遥か過去となる記憶の跡を手繰り始める。
 数百年も前の事もあり、上手く思い出せるかという懸念があったが、思いの外当時の事は鮮明に映し出すことができた。
 衛宮士郎が理想に向かって一歩でも近づくまたとない転機――聖杯戦争が起こる街、それが冬木市。その勝利者となった士郎が飛ばされた異郷の地。白銀の世界での最愛の人との出会い。そして理想を目指して世界を駆け巡った終末が裏切りによる死という報われない結末までの経緯を――。


「――まるでお伽噺のような話ね……」


 彼の話を聞きしばらく呆然とした様子を見せていた二人だが、しばらくして暗い表情で桃子がため息を吐いた。
 その話は到底現代では起こりそうにもない夢 物語のようだが、士郎の持つ雰囲気――そう、 まるで遠い過去を懐かしむように言葉を紡ぎだ す彼を見ると冗談を言っているのでは無いと理 解できたからだ。


「死んだ……君はそう言ったね。だけど君はこうして生きている。それはどういう事だい?」


 彼は嘘をついていない…それは分かっている。 分かっているのだが話に矛盾が生じていることに高町士郎は疑問を抱いた。


「――いや、致命傷を負った上に追っ手つきといった絶望的な状況だったからな。――もう死んだも同然だったさ。だから何故生きているのかは俺にも分からない。……所でその娘は?」


 肩をすくめながら士郎は苦笑をもらす。  心当たりが無いわけではなかった。尽きかけた命の灯火――それが掻き消える直前に、自身のよく知る人たちが周りに立っているのを士郎は見たような気がする。
 もしかしたら彼女達に助けられたのかもしれないし、単に運良く生き延びただけかもしれない。こればかりは偶然が良すぎるので信じてもらえないだろう。この事については話す必要がないため、先ほどから扉の隙間からこちらを覗いている娘の方に視線を向ける。


「ん?――ああ、ちょうどいい。なのは、こっちにおいで」


 おそらく入るタイミングが見つからなかったのだろうか。父の士郎の呼び掛けにぱぁっと顔を輝かせるとこちらに走りよってきた。
 髪は母譲りの栗色で、活発そうな元気な女の子のようだ。 だが、彼女からはどこか……


「ほらなのは。自己紹介しなさい」
「うん!私の名前は高町なのは。よろしくね!」



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