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Fate/InterlaceStory −剣製の魔術師−
第二話 〜経緯〜
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 元気に自分の事を紹介する彼女、だがその瞳の奥にあるものを感じた士郎は理解した。
 だから……だから返事のかわりに手を伸ばし、 彼女の頭を撫で始める。
 突然の士郎の行動になのはは戸惑うが


「――無理に抱え込もうとするな」


 その一言でびくりと背筋を震わせた。


「何に悩んでいるのかは知らないが、一人で抱え込もうとするには……君はまだ若すぎる」


 それだけを言うと手を離す。
 彼女を見てるとどうしても昔の自分を思い出してしまうため、何も言わずにはいられなかった。


「すまない。……そろそろ限界みたいだ」


 視界が暗転しはじめ、踏ん張りが効かなくなった身体を壁に預け、地に腰を下ろす。
 この身は死徒。復元呪詛を保有する吸血鬼で はあるが、解析してみた所、今の俺は十代後半辺りにまで肉体が逆行している。 意図的に肉体年齢を操作する事も出来なくはないが、恐らくは世界の修正によるもの――による予期せぬ若返りに復元呪詛が対処しきれて ないのだろう。
 肝心なことはこれからどのようにして生きていくのか――その事について思考を巡らせようとしたが中止した。
 未だ肉体、精神双方を伴う倦怠感によりまともな考えが思い浮かばないためだ。


「怪我が治るまではここにいなさい。君にはまだ、色々と聞きたいことがあるからね」
「すまないな。そうさせてもらうとしよう」


 最後に一言礼を言うと、士郎は再び眠りのなかにおちいった。



――:――:――:――:――



 旧い夢を見た。 満月の夜道での白い義姉との出会い。殺し合い、そして共闘。 そして聖杯戦争が終わり、日常生活を共にし、そして暫しの別れ。

 



 そして次に会ったのは、彼女が死ぬ前だった。





 -Interlude out-




「――さて、これまでの状況からするにここは異世界…いや、並行世界であることに間違いは無いだろうが…」

 人気の無い森の中、士郎は視力を強化してそこから見える街並みを一望していた。
 街の作りや和風の殊が混じった独特の雰囲気は彼のよく知る日本で間違いはない。
 ――だがその中に見える海鳴市なんて場所は記憶の何処を探しても存在していなく、……何よりもこの冬木市に匹敵するほどの霊脈の地を魔術師が手をつけた形跡がないことじたいが別世界であることを証明している。
 早朝静かに目を覚ますと、誰にも察せられることなく彼は高町家を出たのだ。あの時、自分の素性を明かしたのはなにも二人を信用していたからだけではない。
 ――自身が裏の人間であり、厄介事を巻き込む存在であることを明確に認識させ、深くは関わらないほうが良いといった彼なりの配慮だ
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