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Fate/InterlaceStory −剣製の魔術師−
第二話 〜経緯〜
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「…まずは俺のいた世界の魔術が、ここでは機能するのかだが」


 瞳を瞑り、表向きの思考を中断し自己へと埋没すると全身の魔術回路に魔力を通していく。


「――――投影・開始(トレース・オン)


 投影するは黒と白の対なる陰陽剣――干将莫耶(かんしょうばくや)
 士郎の剣製の中でも最も馴染みのある刀剣であり、まるで初めから知っていたかのように投影するまでのタイムラグが無いに等しい宝具でもある。
 試しに投影して分かったのだが、この世界による魔力消費量は前と比べると大幅に減少している。
 精度に関してもオリジナルの宝具と比べて何の遜色もない完成度で、これなら以前よりも幅広い戦略面が期待できる。


「万が一の戦闘時に関しては十分すぎるくらいだな。――後は生活面だが……まあ、何とかなるか」


 一先ず仕事先を探して、その給料が入るまでの野営暮らし。
 暫しの間不便な生活をしなければならないだろうが、そんな事など士郎は数えきれないくらいに経験してきた。
 手慣れた動きで周囲にある枝葉や岩を集めると、風雨を凌ぐ擬似テントを作り上げていく。
 そして中で横になると、(そら)に朧気に浮かぶ満月を見ながら士郎は嘆息した。




「――本当に君は来れるのか……アルト」




 ……その表情は、先日のあの栗毛の女の子の孤独そうなそれと非常に酷似していた。

 




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