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ドラクエX主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?
二部:絶世傾世イケメン美女青年期
九十七話:逃避行
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あり得ないので、微笑んで答えます。

「そうですね」

 お礼を言うのもなんか違う気がするので、これだけですが。

 確かにきっと一緒にいる限り、ヘンリーは変わらないんだろう。
 十年、そうだったんだから。
 相変わらず私を最優先にしてくれて、自分のことも、他のことも二の次で。

 だからきっと、このままじゃダメなんだ。
 この国が、一番ヘンリーを必要としてるんだから。
 私は、一人でも大丈夫なんだから。
 仲間たちだって、もういるんだから。

 なんてことも考えつつ当たり障りの無い会話を続け、マリアさんを教会に送り届けます。

「では、マリアさん。私はこれで」
「ありがとうございました。ドーラさんたちは、これからどうされるのですか?」
「まだ、城内に魔物が残っているかもしれないということですから。少しはお役に立てるでしょうし、城内を見て回ろうかと」
「そうですか。ドーラさんたちが見てくださるなら、お城のみなさんも安心できますね。どうか、お気を付けて。ではまた、後ほど」
「ありがとうございます。では、また」

 教会の中に入っていくマリアさんを、笑顔で見送ります。

 ……また、すぐ後では無いけれども!
 だいぶ先に、またお会いしましょうね!
 ルーラを覚えたあたりに!!


 城内を見るとか言いましたが、ここまで見た限りで魔物は残ってなかったし!
 もう少し歩く間は一応見ていくつもりだから嘘では無いし、多少残ってようが雑魚だろうから、あとはお城の兵士さんたちに任せれば大丈夫だと思うの!

 と、いうことで、歩き出す前に仲間たちに静かに声をかけます。

「みんな。これからも、私と一緒にいたいと思ってくれるなら。黙って、着いてきて」
「ピキー!」
「……御意」
「え?え?……なんか知らないけど、わかった」

 即答するスラリン、一瞬の間を置きながらも問い返さずに了承するピエール、よくわかってないながらとりあえず答えてくれるコドラン。

 全員の承諾を受けて、怪しまれない程度の速さで、迷い無く歩き出します。
 目指すは城の正面玄関、では無く。
 祠に通じる、旅の扉です!


 元々人気(ひとけ)の無い場所にある旅の扉の近くは、鍵で閉ざされていることもあって、城内を捜索する兵士さんたちの姿も無く。
 人目を忍んで城を出るには、もってこいです!

 単純な距離だけで言えば、普通に城を出たほうが近いんでしょうが。
 城を出るときに見咎められたり、町で見咎められたり、関所で捕まったり!
 諸々で発見されたり足留めされたりする危険性を考えれば、誰にも見られずに脱出でき、かつ城を出たあとは全力で移動できるこちらのほうが良いと踏みました!
 私たちがいないことに気付かれ
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