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皇太子殿下はご機嫌ななめ
第25話 「いま、そこにある危機」
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先走りすぎて、現実を見てないよな。シュターデンを笑えんぞ」
「計画経済でうまくいく訳がない。」
「だから十年と期限切ってんだろうがっ!! はい、そうですか、では自由主義経済でやっていきますって言ってられる状況かっ」
「それは……。」
「十年後の帝国を想像してみろ? 話はそれからだ。行ってよし」

 カール・ブラッケさんが皇太子殿下に、部屋から追い出されてしまいました。
 最近の皇太子殿下は、経済関係に口出しし始めています。
 イゼルローンの事もあるのに……。

「イゼルローンの事は心配してない。ミュッケンベルガーもいるし、他の連中もいる。ただなあ〜経済関係はちょっとな」

 ■フェザーン自治領主 ブルーノ・フォン・シルヴァーベルヒ■

「それで宰相閣下は十年後の帝国を考えろ、と言われたのだな」
「そうだ」

 画面の向こうでカール・ブラッケが憤っている。
 まったく、宰相閣下もご苦労な事だ。
 オーディンにはこいつらしかいない。頭が痛い事だろう。

「では、答えを言ってやろう。宰相閣下はすでに戦後を考えておいでなのだ」
「戦後?」
「そうだ。同盟との戦争が終わった後でくるもの。それは旧同盟とでもいうべき、属国の誕生だろう。彼らの持つ民生品の品質に今の段階で勝てるか?」
「さ、さあ〜それは?」
「卿らは、オーディンで何しているんだっ!! 宰相閣下のご苦労を支えようという気がないのかっ。夢のような改革を語っているだけで、何かを為しているかのような気になっているのか」

 あ、ダメだ。こいつ、改革論をぶちまける事はできても、実行力がない。
 人を集め、衆知を集め、実現させるような企画力もない。
 それ以前に人を惹きつける魅力が足りない。
 言われた事しかできない。
 命じられなければ何も作り出せない。
 良くも悪くも、宰相閣下のように強引に状況を引き寄せる力と、一歩踏み込む強さがないんだ。
 今なら分かる。なぜ宰相府に事務局などという部署を作ったのか。
 俺なら経済関係だ。
 オーベルシュタインなら、内務関係を一任できる。
 こいつらは事務処理担当だったんだ。
 下手に経済関係とか、内務関係の部門を作れない。

「戦後に起こるのは、経済という名の争いだ。それに退役するだろう軍人達に、与える職はあるのか?」
「民間に移るはずだ」
「その民間に職があるのかと、聞いているんだ」
「あるだろう」
「あるだろうとか、あるはずだ。ではダメだと、宰相閣下はお考えなのだ。卿が市井の人間ならばそれでもいい。しかし帝国の中枢にいるならば、そんな考えではダメだ」
「それは……」
「そこで言葉に詰まるな。宰相閣下がただの趣味で、ザ○ファイトなどというものを、やろうとしていると思っていたのか? あれだ
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