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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜妖精郷と魔法の歌劇〜
英雄達の戦歌
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けで、中身は《裏切り者には須らく死を》がスローガンなくらいッスからねぇ。まーそれでも、肝心のシゲさんはそれを頑張って治そうとしてたみたいですけど。俺から言わせてみりゃ、ありゃ完全に無駄でしたねぇ」

肩をすくめるウィルに、カグラは再び同情の眼差しを少し向けた後、きっぱりと言った。

「………なるほど。これであなたが《多刀流》を持っている訳が分かりました。そして同時に、なぜクナイなのかという事も」

「お、分かっちゃったッスか?」

「はい。《多刀流》はその理論上、複数の武器を同時に装備をしていないと意味がありません。そしてそれができるのは、同時に複数の刀剣カテゴリの武器を装備できる《老僧の千手》シゲクニのユニークスキル《自在剣(マルチソード)》のみ………」

淡々と語るカグラに、ウィルはニヤニヤ笑いを止めない。

「しかしその他にも、同時に武器を装備できる方法はあった」

「………その方法とは?」

「《投擲武器》です。私も、今の今まで忘れていましたが、投擲武器は装備重量が許す限りいくらでも装備欄に移すことができます。そして、あなたの持つそのクナイのカテゴリは………《投擲》」

「ビンゴ。そうッスよ。何で俺がこんな、特殊すぎる得物を選んだかと言うと、全てはそのためッスね」

「《投擲武器》クナイ。………確か、《短剣》スキルの上位派生スキルでしたか」

ウィルはニヤリ、と笑いを深くした。

「要は、投げれる短剣ってとこスかねぇ。攻撃力がイマイチなのが、玉に瑕ッスけど」

「……………なるほど。万事解かりました」

カグラの足元。

そこには、地獄の亡者のように残酷で、しかし美しい炎が辺りの空気を嘗め回しながら拡大していた。

それを見ながら、ウィルは更に笑みを大きくする。

残忍で、獰猛に。猛々しき獣のように。

()()()()ッスか?」

「えぇ………。あなたがべらべらと喋っている間に、イメージがつきました。…………あなたを焼き尽くすための」

「おぉこわ。そんじゃこっちもとっておきを出すとしますか」

そう言って彼が取り出したのは、これまでとは色合いの違う、五つのクナイ。

それぞれが、赤、青、黄、緑、茶に、鮮やかにカラーリングされている。

───それぞれのシンボルカラーで集中深度を上げようとしているのか?

しかし、それだけでは彼の言った《とっておき》ほどの効果は得られないだろう。ならば何がとっておきなのか………。

疑念を振り払い、カグラは手元に集中した。

いまだに炎の勢いは治まらない《煉王聖火》状態の、肥大化した《冬桜》の刀身。

しかし、これではダメだ。射程は延びるが、威力は出ない。

───もっと深く。

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