暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
黒狼の背にて
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領に向かう《虹の谷》、あとケットシー領に繋がる《蝶の谷》。んで、会談はその《蝶の谷》の内陸側の出口でやるってことだから…………」

紅衣のケットシーの言葉に導かれるようにリーファはぐるりと視線を巡らせると、北西の方角を指した。

「あっちにしばらく言ったとこだと思う」

「了解。残り時間は?」

「おそらく二十分かと」

「会談を襲うつもりなら、サラマンダーはあっちからこっちへ移動するわけか………」

キリトは南東から北西へと指を動かした。うーん、とレンが唸る。

「僕達より先行してるのか、微妙なとこだねぇ」

「このスピードならば、大丈夫ではないですか?」

カグラはつっと視線を周囲に向ける。

クーの巨体はますます加速し、いまや漆黒の弾丸と化していた。時速にして直すと、軽く二百キロか三百キロ近く出ているのではないだろうか。

「うーん、それでも相手の先行具合にもよるわね」

「急ぐしかない、か。ユイ、サーチ圏内に大人数の反応があったら知らせてくれ」

「はい!」

こくりと頷き交わし、レンがクーの背を一度叩くと、漆黒の巨体はぐわっと身体をたわめて一層の加速に入った。










「それにしても、モンスターを見かけないなぁ?」

草原の草を薙ぎ倒しながら漆黒の風と化すクーの背に乗りながら、キリトが口を開いた。

「あ、このアルン高原にはフィールド型モンスターはいないんだ」

「へぇ、だから会談をわざわざこっち側でするんだね」

「なるほど、大事な話の最中にモンスターが湧いちゃ興醒めだしな………。でも、この場合はありがたくないな」

「どういうこと?」

レンが訊くと、キリトはニッと悪戯っぽく笑う。

「《トレイン》でもして、モンスターの大群をサラマンダー部隊にぶつけてやろうと思ったんだけどな」

《トレイン》というのは、ネットゲームの非マナー行為の名称だ。

フィールドに生息するアクティブなMobは大抵、己の攻性化範囲(アグロレンジ)に入ってきたプレイヤーをシステムに規定された時間または範囲まで無限に追いかけ続ける。

しかし、これには抜け道があって、あるワンプレイヤーを追っている最中に別のプレイヤーが、その対象プレイヤーとの距離よりも近くに出現した場合だ。

これを都合よく利用すると、追ってきたMobを他プレイヤーになすりつけると言う事になってしまう。当然ながら、なすりつけられた側は堪った物ではない。

「………よくそんな事考えるわねぇ。サラマンダーは洞窟で襲ってきたとき以上の大部隊っぽいから、警告が間に合って全員でケットシー領に逃げ込めるか、もしくは揃って討ち死にか、どっちかだと思うわよー」

間延びした声で言った後
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