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ラ=トスカ
第四幕その四
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があった。
 それに灯されている火を消そうと思った。だがふと吹きかけた息を止めた。ある事が彼女の頭の中に閃いた。
 左右のそのそれぞれの蝋燭を手に取った。そしてスカルピアの遺体の側まで行き一本を彼の頭の右に、もう一本を彼の頭の左に置いた。
 そして次に部屋を見回した。するとスカルピアの机の上に一本の十字架があった。
 それを手に取り恭しく運び、スカルピアの遺体の側まで来ると跪いてスカルピアの胸の上にその十字架を置いた。そして祈り胸の前で十字を切りつつ立ち上がった。
 二本の蝋燭以外の全ての蝋燭を消した。そして用心しつつ扉を静かに、少しだけ開けた。
 様子を窺いつつ身を差し入れた。そして静かに外へ出て扉を閉めた。
 扉が閉められた時風が微かに入った。風はスカルピアの遺体のところまで舞い込んで来た。
 風で蝋燭の火がゆらゆらと揺れる。両方共もう少しで火が消えそうになる。
 だが風が止んだ。かろうじて消えなかった。そして消えずにすんだ火はそのまま静かに燃え続けスカルピアの遺体と部屋を照らし続けていた。

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