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ラ=トスカ
第四幕その三
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第四幕その三

「獣、寄らないで。貴方のものになるなんて・・・・・・・・・。何と浅ましく破廉恥な人」
「それで?だからといって貴女が欲しくなくなるわけではない。さあ窓を見なさい」
 右を見る。今まで真っ暗闇だった空が僅かに明るくなり始めている。朝が近付いてきているのだ。
「もう時間だな」
「待って下さい!」 
 トスカは叫んだ。
「では私のものに?」
 右の人差し指を振り言った。
「・・・いいえ」
「では駄目だ」
「そんな・・・・・・許して・・・・・・・・・許して下さい」
 フラフラと前に進み長椅子の背に倒れ込んだ。
「私は歌に生き愛に生き常に人の為に尽くしてきました。困っている人や子供には手を差し伸べ誠の信仰の祈りと花を捧げました。聖母様のマントに宝石を捧げ天の色彩り々々の星々に歌を捧げました。それなのに・・・・・・・・・それなのにどうしてこの様な報いを私にお与えになるのですか」
 トスカは泣き崩れた。だがスカルピアは冷酷にトスカを見つめたままである。
「さあ決心を」
「私に?」
 トスカは泣き崩れた顔を上げた。
「これ以上何がお望み?私はもう心が壊れてしまったわ。その壊れた心さえ貴方は手に入れたいというの?」
「そうだ、私は貴女の心を欲しいのだ」
 その時ドアをノックする音がした。スカルピアが入れと言うとスポレッタが入って来た。
「何かあったのか?」
「はい、先程スキャルオーネ、コロメッティの追跡隊から連絡が一人来ました。アンジェロッティ侯爵を発見したそうです」
 スポレッタは姿勢を正し敬礼をして報告した。
「そうか、これで私の首も完全に繋がったな。そしてもう一人は?」
「カヴァラドゥッシ子爵ですか?もう何時でも執行出来ます」
 その言葉を聞いてトスカの顔は再び血の気を失くしてしまった。
「そんな、もう・・・・・・」
 それを見逃すスカルピアではなかった。
「待て」
 スポレッタを制しトスカに近付いた。そして小声で問うた。
「いいな」
 それに対しトスカは無言で頷いた。
 スカルピアの表情が勝ち誇ったものとなる。椅子の背に顔を埋め泣き崩れるトスカをよそにスポレッタに近付く。
「待って、あの人を、マリオをすぐに自由にして」
 トスカが顔を上げて言った。スカルピアはそれを左手で制した。
「見せ掛けが必要だ。公然と解き放つ様な事は私にも出来ない。子爵は一度死ななくてはならないのだ」
 そしてスポレッタを指差して言った。
「それはこの男が確実にやってくれる」
 スポレッタは指差されていささか驚いた。だが顔には出さなかった。
「誰がそれを保証してくれますか?」
 トスカは問うた。スカルピアはその疑念を打ち消した。
「貴女の目の前で私が彼に直接与える命令だ。それでも?」
「い
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