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SAO─戦士達の物語
GGO編
百十六話 温もりと殺人鬼の瞳に映るモノ
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ようなスピードでそれを振り上げ、一気に振り下ろした。そしてその動きに……

「……!」
完全に自動で体が条件反射としての行動を起こし、腰につけていたナイフを振りあげる。ギィッ!と言うするような音と共にオレンジ色の火花が散り、光り輝くエネルギーの刃を、無骨な鋼鉄の刃が受け止めた……驚いたように長い黒髪の向こうで時には既に闇風は次の行動を起こしている。

「でぇりゃぁぁぁっ!!」
「うおっ!?」
真横から思いっきり右足を振りかざし、ひざ蹴りを黒い少年に叩きこもうとすると、少年は恐らくは反射的にそれを避けようとバックステップで密着していた体を離す。距離を取って……次の瞬間気が付いた。

「喰らいなさい!」
「うわっ!!?」
右手に持ったままのキャリコの銃口を再び正面に向けて引き金を絞る。

「っ!」
「逃がすか!」
流石にこの距離は不利と見たのか、全速力で真横に向けて走り出した少年を、追うように銃口を横にスライドさせる。走りつつも徐々に間合いを開けて行く少年に、もう少しで弾丸の嵐が追い着くと言う所まで追いつめ……その時だった。

──ピリッ──

「っ!!?」
突如としてうなじの辺りに電撃が走ったような不快な感覚が走り、考えるよりも先に体が動いた。即座に発砲を中止し、その場から飛び退りつつ、姿勢を低くする。と、先程まで自分の居た場所に飛来した鉄の塊が着弾し、巨大な弾痕を穿った。

その隙にとばかりに此方に向けて進路を変えようとした少年に、闇風は銃口を向けて牽制する。

「ふぅ……」
「…………」
と、そこで一つ息を吐いた。ちらりと少年をみて、口角が上がる。

「まさか、彼奴が来るより先に君が来るなんてね。弟君」
「……え?」
キョトンとした表情で目を丸くした少年の、その容姿から生み出される可愛らしさに、思わず闇風は吹き出した。

「あぁ。彼奴から聞いてないんだ?私よ。貴方の学校の生徒会長」
「え、か、風巻先輩!?」
驚いたように言った光剣使いの少年……キリトに、闇風は苦笑しながら返す。

「その名前は禁止ね。弟君」
「あ、す、すみません……」
恐縮したように首だけで会釈しつつ言ったキリトはしかし、相変わらず真っ直ぐに此方を見ている。

「さて!あなたが此処に居るのは……偶然?それとも、彼奴と一緒に何か演出でもするつもり?」
「正解じゃないですけど、後者に近いですね」
「ふーん、自分とやりたきゃ先に弟を倒せとでも言うつもり?ずいぶん偉くなったもんねェ……」
不機嫌そうにこの場に居ない男を睨むように言った闇風に、キリトが苦笑で返した。

「ま、まぁ、兄貴自身はそう言うつもりじゃないみたいですよ。伝言が有ります」
「へぇ?なんて?」
「“わり、ちょい忙しい。また次な”だそうです
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