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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-10信じる心、怯える心
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らいないと。あの様子じゃ、とても信じてもらえそうにない」
「……おともだちに。()()まして、たのね。」

 少女の表情が、また固くなる。

 ()(とが)めたマーニャが、呼びかける。

「嬢ちゃん」
「……ゆるせない。」
「嬢ちゃん。奴らは倒したんだ。いつまでも、そんな顔してんな」
「……顔?」
「恐え顔してんぞ。ガキが、眉間(みけん)(しわ)なんざ、寄せるもんじゃねえ。ガキってのはな。面倒くせえことは大人に(まか)せて、笑ってりゃいいんだ」
「そう、なの?」
「そうだ」
「楽しく、ないのに。笑えない」
「ガキが笑えるようにしてやるのも、大人の仕事だな。とにかく、ややこしいことは考えんな。世界一ってのは(おお)袈裟(げさ)としても、それなりに綺麗なもんが、見られるかもしれねえんだ。それのことでも、考えてな」
「きれい、なの?……うん、わかった」
「では、本当にそろそろ行きましょうか」


 今度は、罠にも魔物の妨害にも()うことなく、洞窟を進む。

 途中、またも重い扉があり、三人がかりで息を切らして開け、最深部にたどり着き、宝箱を発見する。

「やっと、あったな……。これで、くだらねえもんだったら。あの野郎、承知しねえ」
「ものがどうかは、さすがに彼の責任じゃないだろう。開けるよ」

 宝箱を開けると、中から、薄い青色に(きら)めく、()(とお)った宝石が出てきた。

 少女が、その輝きに()()る。

「……きれい」
「まあ、綺麗は綺麗だな。しかし嬢ちゃんがあんな目にあって、この程度か。……割りに合わねえな」
「なにか、書いてあるね……信じる心?」
「ずいぶんと、また。皮肉が()いてんな」
「どういう、こと?」
「つまり、世界で一番、大切な宝物(たからもの)というのは、この宝石や、他の(もの)ではなくて。相手を、人を信じる心、だということです」
「……そう。(もの)じゃ、ないのね」
「わざわざ試しやがるとか、性格悪すぎだろ。何が楽しくて、こんな洞窟用意しやがったんだ」
「さあね。今、肝心なのは、この洞窟に(もぐ)った証拠が手に入ったことだから」
「それも、野郎が信じるかだな。無理じゃねえか?こんなもん見せたって、なんも変わんねえだろ。知ってたってわけじゃねえんだからよ」
「そうかもしれないけど。ものは手に入ったし、今のところ他に心当たりもないんだから。とにかく戻って、もう一度彼と話してみよう」
(ほね)()(ぞん)になりそうで、気は進まねえが。話してみなけりゃ始まらねえか。よし、じゃ、出るぞ」

 マーニャのリレミトで洞窟を脱出し、ルーラで砂漠の宿に戻る。


 再び、馬車の持ち主、宿の息子の
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