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とある誤解の超能力者(マインドシーカー)
第4話 投資話
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の鋭い眼光を初めてゆるめると、前髪をいじりながら、
「将来性のある、君のような超能力者に声をかけているのだよ」
「ただ、僕には金がないですけど?」
「その点は心配いらない。
君の将来を前借りするのさ」

羽来は、牧石に次のように説明した。

牧石は優秀な編入生である。
他の超能力者と違って、高いレベルに到達し、多くの収入を得ることになるだろう。
そうなった時に、もらえることになる金額を原資として投資することで、今から優雅な暮らしを約束するということだった。

「なるほどね」
牧石は、羽来の説明にうなずいた。


「ああ、牧石君すまない。
別のお客様から電話があったようだ」
羽来は、振動する携帯電話を取り出して会話を始めた。

「ああ、山場市議様ですね。
先日の市議会ではお世話になりました」
羽来は、電話越しの相手に頭を下げる。
「ええ、先生が昨日お話した、投資の件ですね。
はい、ありがとうございます。
はい?
増資がしたいということですか……」
羽来は少し、牧石の表情を眺めたあとで、
「先生、申し訳ございません。
今回の投資枠が埋まっておりまして、次回は来年と言うことになります」
羽来は再び頭を下げていた。
「なんとか、とおっしゃられましても。
1時間、いえ30分お待ち願いますか。
もしかしたら、投資枠が空く可能性がございます。
ええ、後ほど改めてお電話しますので。
はい、失礼いたします」


「待たせたね、牧石君」
携帯電話のやりとりを終えた羽来は、牧石に向き直る。
「聞こえたかもしれないが、今回の投資話は申し込みが殺到していてね。
もうすでに打ち切りとなっているのだよ」
羽来は鋭い視線を牧石に向けながら、会話を続ける。
「でもね、運用責任者枠と呼ばれる私だけが持つ運用枠があるのだよ。
私はその枠を、君たちのような有望な少年たちに投資しているのだよ。
君たちが力を発揮して、社会が良くなることを期待してね。
ああ、もちろん今聞いた相手に迷惑がかかるから、相手のことは秘密にしてくれないかな?」
羽来は、牧石がうなずくのを確認すると、注文したコーヒーに口を付ける。

「君に残された時間は、僅かしかない。
だが、人生はいつも短期間で選択を迫られることが多いのだ。
手続きの関係もある。
後15分だけ、時間をあげよう」
羽来は、右手につけた高級腕時計で時間を確認しながら宣言した。

「少し考えます……」
牧石は、頼んだ料理に手を付けることなく、考え込んでいた。



その表情を眺めながら、羽来はこれからの事を考えていた。
羽来は、情報処理等のコンピューター関連の授業を担当する普通の教師であった。

しかし、投資に手を出して失敗。
巨額の借金を
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