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とある誤解の超能力者(マインドシーカー)
第6話 グルー
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する。

つまり、超能力者達にとってグルーは、目指すべき存在であるとともに、出会いたくない相手でもあった。



牧石は、久しぶりに全力疾走していた。
編入試験の朝、いつもであれば普通に目が覚める牧石が、寝坊してしまった。

しかも、間が悪いことにアラームの代わりに使用していた携帯電話もマナーモードにしたままだったため鳴ることはなかった。

朝早くから研究所にいた磯嶋に起こされた牧石は、あわてて着替え、財布と身分証明書とサイカードを鞄に詰めると、長めの白衣の袖を大きく振りながら制止を呼びかける磯嶋を振り切って研究所を飛び去った。

そして、編入試験の会場である高校に向かおうとする牧石の前に現れたのが、目黒達から聞いていたグルーと呼ばれる人物の特徴にそっくりな男であった。


男はオレンジの僧衣を身にまとい、小柄ながらも、僧衣の下からは鍛え抜かれた筋肉を覗かせる。

頭部は、剃っているのかきれいな頭皮を拝むことが出来る。
頭皮の艶めかしい輝きは、思わずつるつるしているかどうかを直接触って確認したいという誘惑を喚起させる。

だが、それをあきらめさせるかのように静かでありながら鋭い視線は、興味本位で近づく生物を退かせる力を備えている。

丸い顔は、視線の鋭さを幾分和らげているが、余分な肉が付いていないため、深い鼻やしわまっすぐに閉ざされた口と共に、これまで生きてきた時の深さと厳しさを如実に物語っていた。


「牧石さん」
男の口から発せられた言葉は、小さく落ち着いた声だったが、なぜか石碑に刻みつけられたような重さを聞くものに与え、牧石の背筋は真っ直ぐに伸ばされた。

「私はサイマスターのグルーだ。
これから、君のサイパワーを試してみよう」
男は自分の名を名乗り、牧石が密かに願っていた「人違いの可能性」を一蹴する。

「スクールの卒業生なら出来るはずだ。
これくらいのことが出来ないようでは、エスパーとは言えないぞ!」
グレーは、少しだけ語気を強めたが、牧石にとっては、それだけで真剣を目の前に突きつけられたかのような圧迫感を受ける。
少なくとも、この男には近寄りたくないという、人々の言葉には納得できるものがあった。


「もちろん、借り物ではない君自身の力を使ってな」
「!」
牧石はグルーの言葉に思わず息を飲み込んだ。
牧石が一番恐れていた事態だった。

目の前の男は、最強の超能力者。
自分が思っていたこの世界での最強の超能力者はすべての力を操作する能力者だったが、
目の前の超能力者はそれ以上に牧石にとって危険な相手であった。

グルーが牧石の名前を知っているということは、おそらく予知か読心術の能力を持っているのだろう。
グルーに関する噂にも合致する。

そしてグル
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