暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
全てへの岐路
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。ユウキ達も完全に驚きで停止している。

「…………そう…か」

ただ一言、シゲさんはそう言った。そして、先刻までの好々爺といった風の目の眼光を鋭くしてレンを見る。

「レン君。今言った言葉の意味は本当に解かっているんじゃろうな?」

もちろん解かっている。

前線を退く、ということはつまり、《六王》を退く、ということだ。

しかし、アインクラッドの解放の象徴であり、全プレイヤー達の象徴でもある《六王》がそう簡単に辞めると、《六王》の神聖性と象徴性が薄れてしまう。よって《六王》からの脱退は原則として、死ぬことくらいだ。

例外はかの《PoH》や《フェイバル》くらいだと思う。

それでも、レンは頷いた。力無く。疲れ果てたように。

そのレンの瞳を数秒間シゲクニは見ていたが、やがて黙って頷いた。

「………………よし、わかった」

「だけどシゲさん――」

ユウキが口を挟む。

「抜けるって、無理だよ。ヴォルティス卿が認めるはずがない」

ユウキのその言葉にシウネーを初めとする、スリーピングナイツの面々もうんうんと頷く。

数秒間熟考したシゲさんは、口を開く。

「………ユウキちゃんは《六王》原則第十八項は知っておるかの?」

「第十八項?えーと………」

言い淀んだレンに代わって、背後のシウネーが少しだけ顔を厳しくして淡々と言った。

「【《六王》は、原則として他の《六王》が認める以外のデュエルを禁ず】」

「その通りじゃ。ではなぜそんなことを制定せねばならなかったのかな?」

「それは――」

そこでレンは気付く。

「まさか――」

にやりとシゲさんは笑った。

「気付いたようじゃな」

「《六王》が万が一にも負けたときに、《六王》全体の神聖性が無くなっちゃうからだね」

「その通りじゃ。この十八項を無視し、しかも負けた時、勝った相手はどうなると思う?」

「…………勝った相手が、新たな《六王》になる…………………?」

恐る恐る言ったユウキの言葉に、シゲさんは黙って頷いた。










翌日。

例により、アインクラッド第六十一層、《尖白塔》の六王会議室。

「出て行くがいい」

そう言った。ヴォルティス卿が重苦しく。

それに相対するレンは、どーしてこんなことになったんだろう、と逃避的な思考に思いをはせていた。

まあ、ここまでの経緯を簡単に説明すると、こういうことだ。

昨日、シゲさんに六王脱退のための裏技を教えてもらった。が、いざそれを実践しようとなると大いに悩んでしまう。

まず、誰を六王にさせるか。

これはまあ、特別言わなくても解かるだろう。六王には常に責任や重圧とい
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