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銀河英雄伝説〜その海賊は銀河を駆け抜ける
第二十三話 闇を制する者
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「その主治医は去年の十二月にキュンメル男爵の主治医になった。前任者は何者かに呼び出されたところを轢き逃げに遭い死亡、犯人はまだ捕まっていない、呼び出した人間も名乗り出ていない。そして一月前、フェザーンのアドリアン・ルビンスキーが地球教のデグスビイ主教と何日かに亘って密談している……」
ギュンターと視線を交わした。俺が頷くとギュンターも頷く。

「ローエングラム公が死ねば帝国は間違いなく混乱する。暫くは大規模な外征は不可能だろう。帝国と反乱軍の勢力均衡を願うフェザーンとしては願っても無い事だな」
俺が呟くとギュンターが溜息を吐いた。

「そしてローエングラム公が死ねばヴァンフリート条約を反故にするのも難しくない、現在の苦境を脱却できる……。となればエーリッヒを潰すよりもローエングラム公を殺す方が効率が良い。一石二鳥だ……」
今度は俺がギュンターの呟きに溜息を吐いた。

ギュンターが俺を見ている、そして俺もギュンターを見た。彼の顔には懸念と不安、疑義が浮かんでいる。おそらくは俺も同様だろう。
「地球教の後ろにフェザーンか……。細い糸だな、ギュンター」
「ああ、しかし両者が繋がっている可能性は有る。エーリッヒの指摘は無視できない……」

可能性は有る、その通りだ。地球は資源も産業も無い星だ。何らかの形でフェザーンが援助しているのかもしれない。見返りはフェザーンが表立って出来ない事を地球教が裏で行う……。今回のケースがそうだろう、地球教など全く無警戒だった。

「良く気付いたもんだよ、どうなってんだか……」
「同感だ、フェザーンの情報はゴシップ記事が基らしいからな。そこから裏付けを取ったとか……」
男二人、顔を見合わせて溜息を吐いている。

「フェザーンはただの拝金主義者じゃないか……。この事かな、ギュンター」
ギュンターが首を横に振った。まだ判断出来ないか……。
「分からんな、……まだフェザーンと地球教が繋がったという証拠は無いんだ。確実なのは地球教がローエングラム公を暗殺しようとしている、その疑いがある、そういう事だ」
また溜息が出た。フェザーンと地球、一体どういう繋がりなのか、エーリッヒが報せてきた以上何らかの繋がりは有るはずだ……。

「どうも試されているような感じがするな」
「試されている?」
俺の言葉にギュンターが片眉を上げた
「ああ、エーリッヒに試されている。ヒントは与えた、答えに辿り着いてみろ……。そんな感じだ」
俺の言葉にギュンターが苦笑した。

「あいつ、性格が悪いからな、誠実そうに見えて本当は悪いんだ。海賊になってからさらに磨きがかかってる。そう思うだろう、ギュンター」
ギュンターの苦笑が更に大きくなった。
「この世界じゃ性格が悪いのは必須条件だ。俺達がエーリッヒに及ばない
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