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銀河英雄伝説〜その海賊は銀河を駆け抜ける
第二十三話 闇を制する者
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インもキュンメル男爵の件が有るから取りなしは出来ないしな」
「……」
実際、あんなに話し辛いと思った事は無かった。何度か溜息を吐きそうになったし、逃げ出したくなった。

「最後は散々嫌味を言われたよ。また感謝状を書かされるとか、お前達の情報収集能力は辺境の海賊にも劣るのかとか、帝国最強の情報機関は黒姫一家らしいとか……」
「……それで、卿はなんて答えたんだ」
「その通りです、我々よりもエーリッヒの方が一枚上ですって答えたさ。オーベルシュタイン中将も否定しなかった、事実だからな」
俺の言葉にギュンターが息を吐いて天を仰いだ。

「最後はどいつもこいつも、と言って口を噤んだよ。何を言いたかったのか、嫌でも想像がつく」
ギュンターが今度は二度首を横に振った。
「戦争をやれば武勲第一位、イゼルローン要塞を落して来る。内政でも辺境を発展させている、諜報活動でも二連勝だ。おまけに自分達は協力者だと言って公に頭を下げようとしない。エーリッヒが出来れば出来るほど自分の部下に不満が出るだろうな」
ギュンターが溜息交じりに呟く。

実際ローエングラム公のエーリッヒに対する感情は単純なものではない。エーリッヒが軍人、政治家として傑出している事は十分に理解している。だが口では“あの根性悪のロクデナシの業突張り”、“あの海賊が”と悪態を吐く。その癖部下がそれに迎合すると不機嫌になるのだ。

以前はヤン・ウェンリーが公にとって最も気になる存在だったらしい。だが今ではエーリッヒに変わっている。ヤン・ウェンリーはエーリッヒにしてやられた男で手強さではエーリッヒの方が上だと言う事だろう。何の事は無い、ガキ大将が強い奴と腕試しをして自分の方が上だと証明したがっているのに似ている。

問題はエーリッヒが味方で腕試しが出来ないという事だ。せめて部下達に同じくらい出来る人間が居れば良いのだが常に一歩も二歩も譲ってしまうから面白くないのだ。血統書付きの猟犬を集めたが狩りをさせたら近所の野良犬の方が上手かった、と言うのに似ている。野良犬を評価は出来るが納得は出来ない、そんなところだ。

ちなみに高級士官の間ではブラスターのグリップにエイの皮を貼るのが流行っている。エーリッヒの真似なのだがローエングラム公も貼っている。キルヒアイス上級大将に勧められたらしい。エーリッヒを本当に嫌っているのならマネなどしないはずだ。

「真面目な話、公が半信半疑なのも無理は無いと思う。ギュンター、今俺達に見えているのは元帥閣下がキュンメル男爵邸を訪問しようとした事、それに合わせて或る地球教徒がゼッフル粒子の発生装置を購入した事、そしてそれを男爵の主治医が男爵邸に持ち込んだ事、その主治医も地球教徒という事だ……」
俺の言葉にギュンターが頷いた。そして今度はギュンターが言葉を続ける。
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