暁 〜小説投稿サイト〜
星河の覇皇
第五部第三章 巨大戦艦その五
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
たのだ。
 これでEUの劣勢は決定的となった。既に欧州以外の国々は太平洋側についていた。あとはアラブ諸国だけだが彼等はあくまで自分達の路線を貫いていた。ましてやかっての長い対立関係があるので彼等に協力を期待することなぞできはしなかった。
 それが欧州諸国の孤立と国連の分裂を決定付けた。彼等は追われるように今のエウロパの地に向かった。アラブ各国もまた国連から離れ今のサハラに移った。インドは国連に留まっていたがやがて距離を置き今のマウリアとなった。
 こうした歴史からもわかるように連合は国際連合の後継的な存在であった。だがその権限はやや強化され、中央政府として作り替えられた。それが今の連合であった。
 だがその統制力は弱かった。各国の発言力が強く中央政府は調整役に過ぎなかった。
 そうした状況が長く続いた。その間連合各国は周辺の星系への開拓を進め国力を伸張させていった。連合の一千年の歴史は開拓と発展、そして利害調整の歴史であった。多くの者は中央政府に調整役以外の役割を期待していなかったのだ。
 攻め込んでくる勢力はない。異星人はいるとしてもまだまだ遥か彼方である。エウロパにはガンタース要塞群がある。マウリアとは友好関係にあり、サハラは各国で争っている。とてもこちらにまで攻め込んでくる余裕はない。だからこそ彼等は今まで気兼ねなく開拓に専念してきたのだ。
 だが宇宙海賊やテロリストの存在が次第に問題になってきた。それに対処する為もあり中央政府の権限を強化するべきだという声が徐々に大きくなっていったのだ。
 その声を受けて中央政府はその権限を少しずつ拡大していった。それは長くかかった。だが確実にそれを進めていき遂に軍を持つに至ったのである。
 これにより長年連合の頭痛の種であった海賊やテロリストは大幅に減った。そして今遂に観艦式が行われることになったのである。
「長かったな、本当に」
 観艦式は太陽系で行われる。キロモトは月に設けられた席で隣にいるアッチャラーンに対して言った。
「まず中央警察が設立され、そこから二百年ですからな。今まで中央軍の設立に必要性はよく言われてきたことですが」
「そうだ、だが設立されるまでに二百年もかかった」
「連合の歴史も考えると一千年、まあその間は各国の軍がありましたが」
 だが彼等は協定により他国には許可なく入られない。そこに海賊達が付け込んだのは言うまでもないことであった。だから今まで彼等は頭痛の種だったのだ。
 彼等はその機動力を使い商船等を襲撃する。そして軍が来たならば素早くそこから逃げる。他の国のところに逃げ込んでしまえばそれでもう安心だ。
 連合は各国の所有する星系が複雑に入り組んでいる。その為彼等が逃げるのには適していたのだ。こうして彼等は海賊行為を繰り返していた。
 これに対処するには中
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ