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星河の覇皇
第五部第三章 巨大戦艦その五
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もし政治的効果が北によりあると判断された場合には厄介なことになるぞ」
「そうですね、確かに北には絶好の宣伝材料がありますし」 
 それが総督府であるのは言うまでもない。
「南方よりも遥かにそうした意味で効果は大きい。だがエウロパ正規軍には勝つのは困難だ。勝てたとしてもその後のダメージを受けた状態でハサンに後ろからやられかねない」
「はい。そうなっては元も子もありません」
「どう判断するかだな、大統領が。とりあえず会議がはじまってからだ」
「期待しています」
 二人はそれから話題をデスクワークの方に変えた。実はアッディーンはデスクワークは好きではない。だがそれも軍人、しかも高官にとっては避けて通れない仕事であった。
「書類がまるで山の様だな」
 彼はサインをしながらぼやいた。
「宇宙艦隊司令長官ともなれば当然ですよ」
 ハルダルトもそれを手伝っている。秘書の仕事も大変だ。
「これも仕事か」
「そういうことです、指揮を執るだけが軍人の仕事ではありませんよ」
「それはわかっているつもりだが」
 それでも彼は面白くなさそうであった。
「俺がこうした仕事を好きじゃないのはわかっているだろう」
「好き嫌いを仰っては仕事はできませんよ、閣下」
「それはわかっているつもりだが」
「わかっているなら仕事です、仕事」
「ああ」
 彼は嫌々ながらデスクワークに取り掛かった。そして一枚一枚確実に書類にサインをしていくのであった。

 連合には実に多くの国が存在する。元々アジア、アメリカ、アフリカの国々から構成されている為その数も多いのだ。
 彼等はかっての国際連合の後継者を自認していた。事実連合の設立母体は国連であった。
 この国際連合はあまり力のない組織であった。常任理事国の専横が目立ち、それに小国は振り回されることが多かった。
 常任理事国の数は後にアメリカ、ロシア、中国、イギリス、フランスの五カ国から増やされることになった。日本、ドイツ、インド、エジプト、ブラジルの五カ国が新たに加わった。
 これで多少変わるかというと事態は更に悪化した。宇宙に進出して資源を巡って太平洋諸国とEUが対立すると完全に二つに別れた。
 まずはアメリカ、中国、日本、ブラジルの太平洋側の国とイギリス、フランス、ドイツのEU側。インドはどちらかというと太平洋に寄っておりエジプトは中立であった。当初ロシアはEUの側にいた。
 ここで太平洋側は常任理事国以外の他の国々にも働きかけた。これによりアフリカ諸国が彼等に賛同した。そしてイスラエルやトルコもそれに加わった。
 ロシアはそれでもEUの方に近かった。だがウクライナやベラルーシ等かって自らの勢力圏にあった国々が太平洋側に加わったのを見て次第にEUと距離を置くようになった。そして遂には太平洋側につい
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