第五部第二章 狩りその一
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いない。
「マウリアは国家を無事経営することができている。何の問題があろうか」
彼等の主張に首を傾げながらも他の国の者は頷く。やはり彼等と他の国の者の間には理解できないものが存在しているのだ。
その動きが緩やかなのもそれが為である。連合の進出はおそらく他の知的生命体の勢力と遭遇しない限り続くだろう。その知的生命体の勢力が存在する可能性がある星系まではまだ気の遠くなる距離がある。おそらくそれは一千年は大丈夫だった。
マウリアはそこまで進出はしていない。一つずつ、確かに進んでいた。彼等は決して焦らない。そうしてこの一千年歩んできているのだ。これは外敵がいないからでもあった。
「ですが連合は内部に深刻な矛盾も特に存在しておりませんが」
ラーンチが言った。内部の矛盾を外部に向けるのはよくあることだ。そもそもエウロパのサハラ侵攻も内部の人口や資源の問題の解消があった。
「そもそも連合はその矛盾を解消することにかけては他の勢力よりも遥かに有利であります」
やはり開拓地の存在が大きかった。
「確かにそうだ」
「では何故侵略の可能性を指摘されるのですか?」
「資源だ」
「資源なら連合は星屑よりも多く持っておりますが」
「今わかっている資源はな」
クリシュナータは思わせぶりに言った。
「だがまだ知られていない資源もある筈だ。それがどの様なもので何処に姿を現わすかで話が大きく変わる」
「かっての石油の様に」
「わかり易く言うとそうなる」
二十世紀の戦争はこれの争奪によるものが多かった。この時代文明は石油なしでは成り立たなかったからだ。
今は常温核融合まで使われている。だがこれでも流石に広大な銀河や超空間通信の様な膨大なエネルギーを使用するものの前では無限ではなかった。星系の電気等をかなりの長期に渡って維持できてもだ。
「より効率のいいものに魅かれるのは人の習性だ」
クリシュナータは目の色を知的なものにさせた。
「かって石炭から石油、そして原子力にシフトしたように」
人類はそうして進歩してきたのを知っているからこそ言える言葉であった。
「そうでなければ我々は今もあの地球にいただろうな」
「そうでしょうな」
ラーンチはその言葉に頷いた。
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