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八条学園騒動記
第三十六話 馬鹿兄貴は永遠にその四
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「うむ。では毒見に」
「何かラッシーに似た犬だな」
「ワン」
 そのものだが犬の顔なぞ覚えてはいない。
「まあいいか。同じコリーなだけだしな」
「ははは、犬の顔はわかりにくいからのう」
 占い師は笑ってそう答える。
「まあよい。ではこの犬に味見をさせる」
 その丸薬を犬の口に入れる。それでも犬は平気であった。
「どうじゃ?信じたか?」
「ああ」
 洪童はそれに答える。
「とりあえずは死なないな」
「毒はない。さあ飲むがいい」
「よし、わかった」
 こくりと頷く薬を飲む。占い師に礼を述べてまたレッドバファローまで突き進むのであった。
 占い師はそれを見送っていた。彼の姿が見えなくなるとフードを取った。見ればそれはジョンであった。犬も当然ながらラッシーである。
「ああ、アルフレド」
 彼はアルフレドに連絡を入れる。
「こっちはいいよ」
「よし」
 アルフレドは電話の向こうでその言葉に頷く。
「第二段階もよしだ」
「後はどうするの?」
「既に手は打ってある」
 彼はそうジョンに返す。
「だから安心してくれ」
「そう。じゃあこれで僕はいいんだね」
「これからどうするんだい?」
「ラッシーの散歩をしようと考えているんだけれど」
 彼はそう答える。
「それじゃあ」
「最後まで観ないのか」
「ううん、何となくね」
 そう言葉を返す。
「最後滅茶苦茶になりそうだし」
「滅茶苦茶か」
「だってさ。状況が状況だし」
 ジョンはまた述べる。
「だから」
「そうか。じゃあ気が向いたら来てくれ」
 彼はそう述べるだけであった。アルフレドは冷静に話を第三段階に移行させるのであった。彼は既に手を打っていた。その一手とは。
「よし」
 彼はまた携帯に連絡を入れる。その相手は。
「ビアンカ」
「ええ、兄さん」
 ビアンカは兄の言葉に応える。彼女は何故かトイレで着替えていた。何かえらく格好のいい服に着替えようとしている。何処か女の子のものとは思えないものであった。
「用意はいいか」
「今しているところ」
「そうか。よし」
 彼はそれを聞いて頷く。
「ならそちらはいいな」
「任せて」
 ビアンカは電話の向こうで頷く。スカートからズボンに穿き替え端整な容姿になるのであった。まるで男の子のようにだ。
 アルフレドはその間に別の相手に連絡を入れる。相手はダイアナとペリーヌであった。二人はカラオケボックスにいた。
「そちらはいいか」
「ええ、何時でも」
「すぐにでもね」
 ダイアナとペリーヌは彼にそう返す。
「そうか。じゃあ彼女が来たら」
 ここで彼女と言った。彼とは言わない。そこにも謎があるようであった。
「いいね」
「了解」
「じゃあ」
 二人も応える。第三段階も手筈が
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