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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第一章
七話 始まりへ
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頷く。隣に浮いているクリスもまた、ピッ!と片手を上げた。相変わらずのハスキーボイスで、アルが答える。

[では、お願いします!]
「お願いしますっ!」
一礼しつつ言うと同時に、ヴィヴィオはクリスを右手で持つと、空中に高く掲げる。

「セイクリッド・ハート、セット・アップ!!」
言うと同時に、ヴィヴィオの体が虹色の魔力光によって包まれる。それが収まった時には、セットアップが終わり、16歳程度の体となったヴィヴィオが、拳を構えていた。

「…………」
クラナは一度俯くように地面をみて、少しだけ目を閉じる。
心配そうに、あるが念話で話しかけてきた。

『……相棒?』
『……何でも無いよ』
そう返すと、クラナはアルを指先でシュルリと一回転させて、真上に放り投げる。

「……アクセルキャリバー」
[Set up]
クラナの姿が一瞬だけ、陽炎を通したようにぐにゃりと歪む。それが収まると……クラナもまた、バリアジャケットに身を包んだ姿で現れた。

[では、始めましょう!]
「……来い」
「…………!」
クラナが構える。と、ヴィヴィオは真剣な面持ちで踏み込む隙を探そうとするが、当然隙らしい隙をそうたやすく見せてくれる筈も無く、やがて……

「……ふっ!」
「……」
彼女らしい素早い踏み込みと同時、一気にラッシュを開始した。

────

「…………」
なのはは無言で、クラナとヴィヴィオの練習試合を見つめていた。大人モードなったヴィヴィオは、素早く、相手を崩すように彼女なりにしっかりと考えて打ち込んでいるのだろうラッシュを次々にクラナに向かって叩き込んでいく。時折距離を取ってインターバルを取るものの、基本的にはテンポが速い。しかし……

「(……流石、なのかな)」
クラナはその全てを、表情一つ変えずに全て捌いて居た、あらゆる角度から自分に向かって来る拳や蹴りの嵐を、殆ど無駄の無い動作で逸らし、かわし、弾いて行く。後退することすら殆ど無くだ。
なのはの専門は近接格闘とは真逆の分野だが、教導官としてあらゆる戦闘法の動きや、その分析などを行ってきたなのはが専門的な観点から見ても、クラナの動きや体さばきは、元六課組の現在のレベルと遜色ないレベルにまで達していた。
クラナ自身ノーヴェ等を相手に実戦的なスパーリングもしていると聞くし、悲しいかな、実戦経験もある。恐らく今すぐに彼を実戦に送り込んでも、フロントアタッカーとして十分すぎる成果を叩きだすだろう。

「(でも……)」
しかし感心する半面、なのはの中に、不安が渦を巻いて停滞する。
クラナとヴィヴィオが、格闘を用いて打ち合う。その光景がどうしようもなく、なのはの中で一つの光景を思い起こさせる。

『────!』
『────!』
『────!』

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