暁 〜小説投稿サイト〜
SAO─戦士達の物語
SAO編
四十話 二人
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
うにかしたかったのか……或いは自分の唯の娯楽と自己満足だったのか。
その答えは出ない。が、しかしリョウは一度大きく頷く。
少なくとも、自分のやっていた事は決して悪い結果をもたらした訳ではないと、そう自身言い聞かせるように。

 そしてリョウの口からゆっくりと紡ぎ出された(ことば)は……

「……おめでとう」
 リョウ自身すら驚くほど、暖かかった。

────

「結婚!?」
 サチの大声が、自宅の空間に少し反響しながら響く。
既に日も暮れ、アインクラッドも夜を迎えた午後七時ごろ。
私服に着替えて夕飯を食べるために食卓に付きながら、俺はサチに今日の出来事を告げた。

「声でかいっつの。耳痛くなる」
「ご、ごめん……でもキリトが結婚って……」
「あぁ。俺も此処まで来るかは微妙だと思ってたからな……」
「…………」
 サチは少し心配そうな顔をする。
俺とキリトの義兄弟設定破綻やギルド崩壊の件に関しては、俺達の中でもある程度の整理はついていた。とはいえ、此奴は此奴なりにキリトの事を心配していたのは俺も知っている。
だが……

「安心しとけ。嫁さんもキリトも、互いの事しっかり思い合ってる。それに嫁さんはキリトと肩並べて戦えるくらい強えぇんだぜ?もうあいつは……あいつ等は、自分で進んでいけるさ」
 そう、心配する必要はもう無い。
彼らは歩き出したのだ。彼ら自身の、この世界での新しい道を。

「うん……そうだね」
 ようやく、サチも安堵したような頬笑みを浮かべる。
此奴自身、心配しながらも俺と同じくキリトが前へ進めるように強く願っていた一人だ。キリトの結婚は、きっと俺達のあの事件にとっても大きな一つの区切りなのだろう……

────

「ねぇ、リョウ……?」
「んー?」
 夕飯も終わり、居間でのんびりと新聞(アインクラッドの情報ギルド等が発行。各アイテムや階層の攻略情報の纏めや、探し物、探し人、伝言掲示板などが集まっており、いくつか種類が有る。平均価格500コル)を読むリョウに、サチは縫物をしながら小さく声をかける。

 この裁縫のスキルはサチの趣味の一つで、既にマスターしている。
リョウがいつも着用してい浴衣の様な鎧服は、サチがリョウの取って来た《メタリカ・レオンの皮》という、上層階モンスターの非常に加工が難しい素材から作った物で、耐久値、隠蔽、軽さ、動きやすさに非常に優れ、しかも一定威力に達しない攻撃をノーダメージで跳ね返す上に微力ながら戦闘回復(バトルヒーリング)の効果まであると言う凄まじい性能の逸品だ。

 ちなみに、今編んでいるのはこれから寒くなる季節のためのマフラーである。

「き、キリト達って、け、結婚したんだよね?」
「あぁ?その通りだが……」
 リョウは気が付いて
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ