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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
第97話:シグナム2等空尉
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うとシグナムの表情が険しさを増す。

「どういう意味だ?」

「多すぎる。一度に2000発はさすがに無理があるだろ」

とげのある口調で言うシグナムに向かって俺は淡々と自分の見解を告げた。

「それはゲオルグも判っているはずだろう。あの戦いを経たことで
 6課の、特に実戦部隊の戦略物資はほとんど底を突いている。
 有事への対応を考えれば在庫量の回復は必要だと思うが」

「それは理解できる。でも、それは他の部隊だって同じだ。
 カートリッジの生産量にだって限りがある以上、
 要求量を100%満たすのは無理だ。
 他の部隊への補給を止めてでも6課にカートリッジを回さなければならない
 理由があれば別だけどな」

俺がそう言うと、シグナムは少し考え込むように目を伏せる。
その間に俺はシグナムに向かってたたみかけた。

「それに、シグナムも知ってると思うが来年3月で6課が解散することが
 正式に決定した。そんな部隊に優先的に物資を回す理由はないだろ」

「だからと言って有事への備えを怠るわけにはいかん」

再び目を開いたシグナムは断固とした口調で自分の主張を繰り返す。
この愚直さは俺も嫌いじゃないが、今に限って言えば少し苛立ちを覚える。

「なにも補給をゼロにしろとか平時の平均並みにしろって言ってるんじゃない。
 多少減らせないかと言ってるんだ」

「具体的には?」

「750だ」

実際、俺の本音としては訓練の継続に最低限の必要量。
つまり、平時の平均消費量に多少色をつけた程度に抑えたいところだが、
さすがにそれでは俺自身も不安なので通常の2カ月分強の補給量というのが
俺自身がはじき出した数字だった。

「馬鹿な!それでは要求量の半分以下ではないか」

ピンク色の眉毛を吊り上げて、どこが多少かと言わんばかりに
シグナムは声を荒げる。

「でも通常量の2倍以上だぞ。これでもギリギリの線だ。
 だいたい、あの戦いの直前にあった2100発以上の在庫だって
 半年かけてやりくりしながら確保したんだぞ。
 それを一気に回復させろなんて無茶にも程があるとは思わないか?」

俺がそう言うと、シグナムは気圧されたように弱気な表情になる。

「それは、そうだが・・・」

それでも簡単には折れないあたりはさすがはシグナムだ。
俺はあまり使いたくなかった伝家の宝刀を抜くことにした。

「それに、はやてだって俺の出した数字が妥当だと認めてる」

「な・・・」

俺の言葉にシグナムは一気に顔色をなくす。
シグナムははやてへの忠誠心が4人の中でも特に強い。
それはヴォルケンリッタ―の長としての責任感の表れなのだろうが、
この際は利用させてもらうことにする。


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