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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
敢闘編
第七十三話 蠢動
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ら聞かされたのでは大佐も怒りが収まらぬやも知れぬと…公はこの件に関しては、自分の名に懸けて何らかの決着ををつけると私に約束してくれました」
「決着をつける…」
意外な気がした。ヒルデスハイム伯ならまだ分かるが、ブラウンシュヴァイク公も俺の事高く買っているのだろうか。何故にこうも親切、いや親身なのだろうか…。
「はい。実は最初に食って掛かったのは私なのです。まあ、公ではなくフェルナー大尉に、ですが」
「大人しく出来なかったのはお前の方だったな」
「はい、お恥ずかしい限りですが…この件の捜査を始めた時、大尉に言われたのです。少佐はミューゼル大佐の家臣ですか、と」
「…キルヒアイス、俺はお前を家臣などと思った事はない。お前はかけがえのない友達だ。そして…」
「解っています、ラインハルト様。でも私は大尉に、そう思ってもらって構わないと答えました」
「キルヒアイス…」
「私とラインハルト様のこれまでの関係性からいって、そう答えるのが自然だと思ったのです…まあそれはさておき、捜査が進むにつれて、この件の正体が見えてきました。そこで大尉と口論になったのです」
「黒幕は誰で、それをどうするか、という事だな。詮索するなと言うくらいだ、公の身内が居るのだろうな」
「はい。フレーゲル男爵、コルプト子爵の名が挙がっています。彼等はアンネローゼ様が後宮に居る事、我々がヒルデスハイム伯爵の元で働いている事が腹立たしい様です。そしてブラウンシュヴァイク公がアンネローゼ様を庇護しているのも許せない」
「我々が同門の側に居る事が気に食わないという事だな。ベーネミュンデ侯爵夫人の名を借りた意趣返しという事か」
「その通りです。アンネローゼ様に罪を着せるか、その疑いを持たせればアンネローゼ様も後宮から追い出す事が出来る、同時に連座させて我々も追い出す事が出来る…」
「連中としてはしてやったりという訳だ。充分に害意は成立しているな」
「はい。あとはグレーザーを実行犯に仕立てる…その手筈でしたが、皆が予想もしなかった事が起こります。クロプシュトック侯の反乱です。あの件が黒幕達を怯えさせた。黒幕達はあの件とは無関係ですが、あの事件が起きた事で彼等の中で疑念と恐怖が生じたのです」
「恐怖を抱く理由があったのだな」
「はい。事件が起きた時点で、黒幕達は侯爵夫人を焚き付ける以外には特に何もしていませんでした。ですがブラウンシュヴァイク公爵邸で爆破テロが起きた。あからさまに皇帝を狙ったものです。テロが成功していたら…考えたくはありませんが当然アンネローゼ様だけではなく皇帝そしてブラウンシュヴァイク公、他の出席者も巻き込まれた筈です。黒幕達はアンネローゼ様を追い落とす為に謀議していたのであって、皇帝や公、その他大勢を巻き込む事は考えていないのです。どこからかこの謀議が漏れている
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