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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦(11)〜基地主戦陣地攻防(上)〜
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の量はわかる、艦隊が推進剤をどれだけ食らうかもわかる。だが兵馬の運用はよく知らん」
 セレブレッゼは腹痛を堪えるような口調で言った。

 フォルベック少将は黙って肩をすくめる。”わからん”と言ってくれるだけでもマシな上官だと理解しているからだ。
「帝国軍は100年前の大親征でも見られた、実に、実に伝統的な陣で我々に気炎を吐いています。大時代的ではありますが、伝統とは実用性の証明であり優位の時の定石ほど恐ろしい物はありません。
敵本軍は我が軍本陣地から氷河を挟んで北側に本陣を置き包囲網を指揮しています。我々の整備した主要な連絡道路は帝国軍に封鎖されているため、タバル方面隊やターイー戦闘団との相互連携が困難な状況にあります」


「つまり……しばらくの間、我々は寡兵で攻勢を食い止めることになります」


「12時の方向は陸戦隊の司令官リューネブルク直轄の装甲擲弾兵師団、歩兵を主体としつつ重火力隊を追従させ、必要を見ればゼッフル粒子を散布し白兵戦で切り込む。彼らは非常に堅実な戦い方をします。
彼らこそが実質上の最高戦力、それに対する我々の奮戦こそ、戦の勝敗を大きく左右する事になるでしょう。
まあ、何にせよ。この戦いで最も”近代的”な地獄を見るのは、間違いく彼らとそれに相対する部隊となるのは確実です」

「そして3時の方向には後背に劣悪な装備と錬度の貴族艦隊陸戦隊ですね。重火力隊を前方に出しています」

「想定される戦術は、重火力隊が我が軍の陣地へ擾乱砲撃行い、乱れた陣地に弱兵の群れが飛び込んで食らい付く。後は雑兵による飽和攻撃です。
おそらく彼らは混乱を助長させる為のデコイとなるでしょう」

「これだけならさほど問題にはならんのだかな」
 他が厄介なのだ。とセレブレッゼは髭を撫でる。

「6時の方向には副将らしき部隊が……捕虜の尋問によるとどうやら帝国の寵姫の弟が率いている直轄領常備宇宙軍から臨時陸戦隊を編成したようですね。練度はそこそこですが士気は低い、装備も重装甲車両が欠如しているのですが……」 
 言わんでもわかるわ、とセレブレッゼが空を見てうなる。そこには見慣れた巡航艦が浮かんでいる。
 まだ染みのようだがセレブレッゼの慣れ親しんだ艦隊戦では数万隻のうちの数隻であるが、今は途方もない脅威である。
「最大の問題は、敵は対地改修を済ませたらしい巡航船を3隻も持ち込んでいることです。あの巡航艦隊は今や基地を艦砲射撃で破壊できる距離に侵入しつつあります。
――アレをどうにかせねばならない。スパルタニアンの戦術が限定されてしまう、制空権を奪われた場合、練度云々の問題ではなく鉄量の絶対的な敗北により基地が陥落します」

「基地や常備軍の対空システムで処理できぬかね? 小規模な軌道爆撃であれば撃退できるはずだが」
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