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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦(11)〜基地主戦陣地攻防(上)〜
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陸後の映像データを」

「補給基地……それも艦隊用の……ふむ?」


「我々が監視しているこの艦隊は戦略予備というと聞こえがいいがその実態は予備役――厄介な諸侯をまとめて放り込んだといったところでしょうが……そもそもの目的を考えると――」
 ファンゴルンは愚かではなかったが文官のケースオフィサーであり戦術学は専門外である。ゆえにミュッケンベルガー元帥の策に嵌りかけていた。
ミュッケンベルガー元帥を元帥たらしめたのは威風堂々たる風貌や戦術能力のみならず、その政治的調整能力と巧みにブラフを使用する”叛徒との駆け引き”である。
 功績目当ての貴族――非主流派であれど適度に厄介な貴族をあしらいつつ、目くらましに活用する。


「4=2基地の方はいよいよ本線陣地ですか……」


「緒戦は優位にすすめていますが……」

「マズいなぁ、奴さんが痺れを切らして艦隊を上げたらどうするんですか」
 その通りである、しかしながらそれを行えない状況であるのがグリンメルスハウゼン艦隊司令部であった。
 通信の断絶、先任准将である単座戦闘艇監に暴言を吐いた陸戦隊副司令官、予想以上に優勢な敵の陸戦戦力、先任准将である単座戦闘艇監に暴言を吐いた陸戦隊副司令官、補給拠点の建設計画に対して訪れない補給艦。
 そういった諸々が退嬰的な【戦力保全】を第一とするようになってしまった。
「観測班から報告! 敵艦隊の光学観測を出します」


「……ふむん」





 ヴァンフリート4=2基地外周部、中将と少将、そして佐官たちが兵の警護を受けながら望遠で装甲服のヘルメットに画像を映している。
 ……いやそれならば司令室でいいのではないか? と思っている者もいるが前線の将兵と共に見るということに意義があるのだとフォルベック少将は考え、セレブレッゼは”そういうものか”と受け入れた。

 中将の階級章を付けた男は12時の方向を見る。
「包囲されている」
 3時の方向を見る。
「包囲されている」
 6時の方向を見る。
「包囲されている」
 ……最後に9時の方向を見て、シンクレシア・セレブレッゼ中将は溜息をはいた。
「……囲まれている。一面に敵陣、敵陣、敵陣。吹雪の如き兵共の鳴き声、白い雪原に浮かぶ車両と旗印。人間は大勢になると見分けが付かず、さながら一つの生命体のようだ。
なるほど、社会契約論者による絶対主義者は国家をリヴァイアサンと呼んだ。国民社会主義者は国家は一つの有機体であるといった。
当時の国軍を凌ぐ規模に相対した今、私は改めてその論を体感している」

アイアース(総旗艦)の装甲と書類の束は恐怖より私を遠ざける偉大なものだ。あちらでは数十倍の敵と相対しようと恐怖を感ずることはなかった!」

「兵馬の飯
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