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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦(11)〜基地主戦陣地攻防(上)〜
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 さて、ヴァンフリート4=2において同盟常備陸軍(レギュラーアーミー)構成邦軍(ナショナルガーズ)連合軍と帝国軍の熾烈な攻防戦が繰り広げられている最中、パランティア連合国の情報機関HUORNの特務通報艦は相も変わらずデブリ帯に潜み、4=2を観測している。
 

「統括、第5艦隊より連絡です」

 ファンゴルンは音声通信機をとる。
「……はいはい、ファンゴルンです。え〜はい、はい、はい。わっわかりました〜。そちらはそのように。え〜、はいはい、ではお待ちしておりますぅぅぅ」
 なぜか通信機越しにペコペコお辞儀をするファンゴルンを周囲はちょっとヒいた目でみている。悲しいね。
 

「やれやれ、現場の人はせっかちで困りますねぇ」

「第5艦隊はなんと?」

「1万隻もの獲物が基地の戦いを固唾をのんで眺めているんです、それはもう殺到ですよ」
 総司令部は本土……小惑星コロニー群の防衛で手一杯のようですがとファンゴルンは肩をすくめて見せる。
「まぁ遊撃任務の範疇ではありましょうが」

「同盟軍主力の状況はまとまってますか?」

 副官が端末を操作し、立体航路図にデータが表示された。

「総司令部が現在掌握している主力部隊はビクター・アップルトン提督の第8艦隊とノルマン・ボロディン提督の第12艦隊です」


「アップルトン……アップルトン……あのパルメレントの?」


 はい、と連絡官が端末をいじると新たなデータが反映された。

「例の“ドレッドノート・プラン”で財務委員会を卒倒させたパルメレント、弁務官総会で乱闘を引き起こした挙句にアイアース型の改装でおちつきましたな。
例の“クリシュナ”に乗っておりますよ。
まぁそれはともかく艦隊主力は予定の通り内線作戦に徹しております。戦術的にはやや優位と言ったところで膠着しているようです」

 ふむん、とファンゴルンは顎をさする。
「陸戦隊……装甲擲弾兵……勇み足の貴族領軍……どうにもチグハグで中途半端だ……」

「”等族”ですらないようですね」
 ”等族”、即ち高度な自治権を認められ複数の星系を支配する大貴族――ではない、ルドルフ体制下で分割し、弱体化されたはずの諸侯経済を一門の所領を事実上統合することで克服し、時には軍需関係の工廠すら所有する自由惑星構成邦を凌ぐ一大軍閥の領袖である。その筆頭はブラウンシュヴァイク公爵と数年前までの財務尚書カストロプ公爵である。

 こらこら、とファンゴルンは苦笑する。
「等族は公式の言葉ではないですよ、アルレスハイムに叱られてしまいます」
アルレスハイムでは”そもそも等族という言葉は帝国議会の存在ありきであり進歩主義的に過ぎる”と匿名の政治史学者が批判したことでしられている。

「君、あの艦隊の着
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