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僕は 彼女の彼氏だったはずなんだ 完結
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 私は、地主さんに会おうと思って、市街地から山手に向かってゆるやかな坂道を歩いていた。もう、夕方近くで、昨日も来たけど、お留守みたいで会えなかった。沢山の植木に囲まれた大きな古風なお宅だった。

 呼び鈴を探して、押してみると家の中から返事があって、年老いた人が出てきた。

「初めまして レストランに土地をお借りしている中道美鈴と申します。ご挨拶が遅れてしまって・・」

「あぁ もしかして、昨日も来てくれたのかしら」

「ええ お留守みたいでしたので」

「やっぱり、道ですれ違って、もしかしてと思ったんだけど、声を掛けなかったんだよね ごめんなさいね 何度も まぁ おあがりくださいな」

 通された部屋には、椅子のあるテーブルに炬燵布団が掛けられているもので、周りには、テレビと本棚、飾り棚があるが整頓されていて、きちっとした人だなって思わせるようだった。

「申し訳ございません。もっと、早くにご挨拶に来なければならなかったのに、私ったら、管理会社とばっかりお話していて・・」

「いいのよ そんなこと 私ね、お友達に一度あなたのお店に連れて行ってもらったの おいしかったわー その人、俳句の下手の横好きでね 今まで、発表するとこなかったんだけど、ナカミチさんに貼り出さしてもらってるって、喜んでいたわよ それにね、外で待っている人に、冷たいお絞りが置いてあって、麦茶も配っていたでしょ あんなこと、なかなか気が付かないわよ 暑い日だったから、みんな、喜んでいるし」

「そうだったんですか 皆様、喜んでいただいて、うれしいです せっかく、来ていただいていますから」

「あなた、えらいわね 昔、あったナカミチのお嬢さん?」

「そうです 娘なんです 昔のナカミチ ご存じです?」

「ええ あの頃は、もう少し若かったから、よく寄せていただいたわ 主人も居てね、お肉が好きでナカミチじゃあないとダメだと言ってね オーナーとも仲良くなっていたわ あの時の味のまんまね お気を悪くしないでね お父さんは、お元気なの?」

「ええ 元気で、今でも厨房に立っていますよ」

「そうなの この前、気がつかなかったわ お元気になったんだ あの時、お父さんが入院されたとかで、しばらくして、急にお店閉められたから」

「でも、あの時のことは、もう、覚えてないんですよ 料理のことしか・・ でも、私、ナカミチを復活させたくて」と、言いながら、あの時の悔しい思いを思い出してしまって、私は少し、涙ぐんでいた。

「ごめんなさいね 思いださせしてしまって でも、あの時、あなた、まだ学生さんだったんでしょ?」

「ええ ちょうど 高校受験の時で でも、私が、何とかしなきゃあって思って・・」

「そう いろいろとウワサで聞いたけど 頑張っ
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