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魔法使い×あさき☆彡
第十章 とあるヴァイスタの誕生と死
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し続ける能力においては、道彦は姪にかなわない。

 叔父に実力で劣っていると分かっているからこそ、正香は必ず、自身のその特徴を生かして持久戦に持ち込もうとする。

 持久戦においては、いつも勝つのは正香である。
 道彦は、分かっているのにいつも焦れて動いてしまう。

 とはいえ大半の場合は、実力差で半ば力技的に叔父が姪を下してしまうのではあるが。

 今回もそのような構図、そうなりそうな雰囲気が作られつつある。叔父が痺れを切らして、姪が迎え討つという。

 小さな呼吸をしながら、向き合う二人。

 実力が伯仲しているからこそ、空気がよりしんと静かになる。

 心臓の音すら読み合うかのように、二人は神経研ぎ澄ませ、じっと動かない。
 だが、

 ついに、動いた。
 動いたが、ただしそれは正香の方であった。
 埋まりつつある実力差を信じてのことか、埋められないからこそ虚を突いたということか。

 いずれであろうとも、このようになった以上もう勝負はついたも同然であった。
 道彦の迷いのない攻めが、正香の小手を打ったのである。

 く、と面の中から呻き声。だらりと正香の腕が下がった。

 二人とも、ほとんど動いていないというのに、いま初めて少し動いただけだというのに、はあはあと息を切らせている。

「参りました」

 正香は、深く頭を下げた。
 道彦も頭を下げると、お互い向き合って正座し、面を外した。

「そろそろこっちが負けることもあるだろう、と最近いつも覚悟はしているのだけどね」

 だけどこの様子ではまだまだかな、と叔父はいっているのである。

「はい」
「曇りがある」

 叔父のその言葉に、正香の心臓はどんと痛いくらいに跳ね上がっていた。

「まだ兄さん、お前のお父さんのことを気にしているのか?」

 尋ねる道彦であるが、正香は俯いたまま答えなかった。
 きゅっと唇を噛んでいつまでも下を向いているというのが、答えでもあった。

     3
 東病棟の四階。
 四人部屋の病室であるが、ネームプレートには(みち)()(くも)()と書かれているのみだ。

 患者の、双子の姉である(おう)()がお見舞いに訪れており、ベッド脇にパイプ椅子を立てて座っている。

 彼女の目の前、ギャッジアップさせたリクライニングベッドに(みち)()(くも)()が背を預けて座っている。

 預けているといっても、それは自身の意思ではなく、ただ現在そのような姿勢になっているというだけだ。
 その目には、そもそも意思の存在を感じさせる一切の光が宿っていない。

 まるで、マネキンである。
 いや、生身であることは見て分かる
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