暁 〜小説投稿サイト〜
MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第28話 レイセン一世:後編
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
かに存在している。だから彼女はもう独りではないのだ。
 弾幕ごっこは基本的に一人で戦うものである。しかし、仲間を持つが故の心強さを持つ鈴仙は言いようによっては一人で戦っているのではないのである。
 今こそ『あれ』を使う時だと鈴仙は心に決めたのだ。地上の兎達と一緒に考案したあのスペルカードを。
 そして、鈴仙は奥の手であるそのカードを懐から取り出し、宣言した。
「【水月「月影線砲(ムーンシャドウレイ)」】!!」
 彼女の近未来風のデザインの銃口に青白い光が集約し、勇ましい戦士の如く光線が発射された。
「新しいスペルですか、でも無駄ですよ。クリスタルフォートレスが生み出した鏡の玉は光線の攻撃は全て弾き返しますよ!」
 勇美は一瞬警戒したが、すぐに堂々とした態度でのたまった。石凝姥命の力で作った反射包囲網はそう簡単には破られる事はないと踏んだのだ。
 だが、鈴仙は至って落ち着いて言った。
「勇美さん、水月って何だか知っていますか?」
「それって、水面に移った月ですよね?」
 勇美は何故鈴仙がそのような問いかけをするのか意図を読めずに首を傾げる。
「ご名答よ。そしてそれは光を反射する物になら何でも映し出される物よ」
「ですから、何で今そういう事を言うので……っ!」
 言い掛けた時、勇美は気付いてしまった。そう、今まさに彼女には『水月』が向けられている事に。
「気付いたようね……」
 呟く鈴仙。その彼女の先には……一斉に勇美に向けられた水月の数々、鏡の玉全てに浮かび上がったムーンシャドウレイが存在していたのだった。
 そう、ムーンシャドウレイの光線全てが『水月』となって鏡に反射されていたのだ。
「発射!」
 鈴仙のその号令と共に、全ての鏡の玉から光線が発射された。
 そしてそれら全ては要塞のシャッター目掛けて射出され、いとも簡単に撃ち抜き砕いてしまった。
 あまつさえ壁を破壊しても余力は十分にあった。何せ無数の鏡の玉全てから光線は発射されたのだから。
 やがて一箇所に集まった光線は、折り重なり合い、一本の太いものへと変貌していた。そしてそれは要塞の核の部分へと一気に注がれていったのだ。
 当然堅い要塞の外郭を突破された核にはそれに耐える事など出来る訳もなく、光線を吸い込むように浴び尽くすと、糸が切れた人形のように崩れ落ち爆散してしまった。
 そして、動力部を破壊された要塞は全身に破裂音と爆発が巻き起こっていき、崩壊を始めたのだ。
「綺麗……」
 思わず呟く鈴仙。その言葉が示しているように、確かにそれは流麗な光景であった。
 鋭利で透き通った外観の要塞が小気味良い音と鮮やかな爆発に包まれて崩落していく様は非常芸術的なものなのだった。それを鈴仙は勿論、持ち主である勇美でさえも魅了されながら見ていたのだった。
 勇美
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ