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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第28話 レイセン一世:後編
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「何ですって?」
「触手が操られたのなら、引っ込めるしかないじゃない! あなたも私も!」
 そんな事がイリュージョンシーカーの術下で出来るの? そう鈴仙は抗議した。後最後の台詞はニュアンスとしておかしい事も付け加えた。
「それはですね、スキッドテンタクラーは私の能力扱いだから、解除する事で対処出来たんですよ。要は電化製品が熱暴走する前に電源を切る感覚ですね」
 丁寧に説明していく勇美。ちなみにニュアンスの件をスルーするような情け容赦無さが、勇美には存在した。
「でも、自慢の触手はこれで封じたわよ」
 流れを逆転された鈴仙であったが、強気な姿勢は崩さなかった。このような果敢さも月から逃げる前には見られなかったものである。
「ご心配なく。まだ私の奥の手は残っていますから」
 すると右手を高らかに上げ、勇美は新たなる神に呼び掛けた。
「『石凝姥命』よ、私に更なる力を貸して下さい!」
 その呼び掛けに応えるかのように、要塞は燦然と輝き出し辺りが目映く照らし出される。それに伴い要塞は僅かにその形を変えていった。
 そして、徐々に光は収まっていき、要塞の全容が明らかになっていく。
「これは……」
 思わず目を見張る鈴仙。彼女の視線の先にあったのは。
 鮮やかな透明質でシャープな質感となっていた。それはまるで……。
「水晶……」
 呟く鈴仙。その感想が生まれ変わった要塞の様相を見事に言い表していたのだ。
「どうですか? 【石英「クリスタルフォートレス」】の見映えは?」
「見事だわ……」
 鈴仙はそう言うしかなかった。何故なら弾幕ごっこの醍醐味の一つに『いかに美しく見せるか』というものがある。その点で勇美の催しは合格だったのだ。
「でも、美しさだけでは勝負にはならないわよ!」
 見取れつつも、鈴仙は負けじと口で返す。
「勿論、見た目だけじゃありませんよ♪」
 だが、勇美も口でも負けてはいなかった。そして、彼女は右手を掲げると、水晶の塊と化した要塞に命令を下す。
「マッくん。あれをお願い!」
 勇美のその要望を受けて、水晶の要塞は砲身からボコボコと何かを次々に吐き出した。
「一体何が……」
 鈴仙は呆気に取られながらも、身構え警戒を怠る事はなかった。
 そして、吐き出された物体は一つ、また一つと連続して鈴仙の周りを取り囲んでいったのである。
 鈴仙は漸く動きが止まった物体を目を凝らして見てみると、その正体が分かったのだ。
「……鏡の玉?」
 それが鈴仙が見出した結論であった。
 よく磨き上げられた鏡。それを巧みに球状に仕立て上げた物、それがその物体の正体だったのだ。
「それじゃあ、次に私が何をするか、鈴仙さんなら分かりますよね」
「まさか……?」
 嫌な汗が彼女のブラウスの奥の背中に流れる。
「察しが
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