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【完結】Fate/stay night -錬鉄の絆-
第035話 7日目・2月06日『志郎とアーチャー』
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だが震えている。

「アーチャーは………兄さんはどうして自分自身を憎んでしまったの?」

志郎の言葉に内心で(やはりか…)と己の不甲斐なさに情けなくなった。

「そこまで聞かれていたか。そうだな………少し難しい話になるがいいか?」
「うん。聞かせて………聞かなきゃいけないんだと思うの」
「わかった」

それでアーチャーは語った。
正義の味方として最後まで駆け抜けてしまった生涯の話を。
そして守護者としての在り方を。

「俺はね、正義の味方なんかにならなければよかったと思っている。
切嗣の話を聞いた君なら分かると思うが俺の手も切嗣と同じくたくさんの血で汚れてしまっている」

そう言ってアーチャーは片手で顔を覆い、

「そして守護者となった今、俺の正義は完璧に否定されてしまった。
そこからは地獄だった………もう殺したくないと願いながらも世界から命令されてはたくさんの人達を殺してきた。
俺を慕ってくれた桜でさえ、俺はその手にかけた。
そんなろくでなしな俺にはもう八つ当たりだろうと構わないという思いで過去の自分である衛宮士郎をこの手で消しさるという願いを抱いてしまった。馬鹿だよな、本当に………」
「そんな事ないッ!!」

そこで志郎が顔を上げて涙を流しながらもアーチャーに抱き着いた。

「兄さんは何も悪く、ない………確かにお父さんと同じように悲しみをたくさんの人に味合わせたかもしれない」
「そうだな。俺は…」
「でも! それ以上に笑顔を、感謝されるような行いをしていったんでしょう!? だって兄さんは正義の味方なんだから!」

泣きながらも志郎にそう言われてアーチャーは自身の原点を思い出していた。
この身は誰かのためにあろうと。
嫌われてもいい、笑顔を浮かべてくれるのならばそれで十分だったと。
正義の味方とはそういうものだと。決して夢物語の話なんかではないと。

「兄さんはもう自分の事を許してもいいんだよ…?
もう後戻りはできないかもしれない。だけど! それでも兄さんの目指した正義は決して間違いなんかじゃなかったんでしょう!?」

そう言って志郎はまた泣き出してしまった。
そんな志郎の頭に手を置いて撫でる。

「………こんな俺のために涙を流してくれてありがとう。志郎。それだけでも幾分は救われたよ」
「そんな、こんな兄さんの言う本当の地獄を体験していない私なんかが言っても気休めにしかならないと思う。
でも、兄さんを救いたいという願いは本当なんだよ? 私の理想は『大事な、大切な人達を護れる正義の味方』………だから私は兄さんが守護者となっても幸せを探求できるように願いたい」
「そうか。俺も、そんな事に早くに気づいておけばこんな無間地獄には落とされなかっただろうな。
俺は志郎のように俺
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