黒星団-ブラックスターズ-part3/お出掛け
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翌日…
朝日を浴びて、テファは目を覚ました。
「朝…」
森にいた頃は、木陰に囲まれた場所で暮らしていたこともあり、朝日を窓から浴びるということはあまりなかった。でも今は木の葉のバリケードもなく、直接太陽の光がまばゆく差し込んでくる。
ぼんやりした頭が覚醒していき、テファは窓の外を見やる。
また、妙な夢を見ていた。高く、大きな石のような建物。煉瓦が敷き詰められたものではなく、暗い色の石のようなものが敷かれた地面。そんな街を行きかう、変わった服装の人々。その街には自分やシュウ、サイトたちもまた存在しているという夢。
今回は、シエスタと同じメイド服を着て働いていたところをシュウたちに見られた…といったものだ。現実だったら結構気まずい。夢でよかったものだ。
最近になってそんな夢を見るようになった。それも、ここしばらく毎日だ。
(なんだったのかな、あの夢…)
あの夢は不思議と心地よいものがあった。自分が森の中でひっそりと暮らしていたような静かで平穏だが…同時になんの変化もない鳥籠の中のような生活と違って刺激に溢れ、充実した楽しいものだ。
だがその一方で…不安を感じる要素もあった。その世界でもシュウがウルトラマンに変身して、怪獣たちを倒していたことだ。
(夢の中でも彼が戦っているところを見るなんて…)
これまでのシュウの…ウルトラマンネクサスの戦いを見てきたがゆえに、どうも心が休まる気がしないものだ。一つ不安をぬぐえる要素と言えば、最後には彼は何事もなく必ず勝っていたこと……現実の彼と違い、シュウにとって最悪な不幸が一度も起きていなかったことだ。
苦悩することはあるが、少なくとも彼にとって世界そのものが優しくなっている、と思えた。彼が必要上に背負うものがなく、精神的にも憑き物が何もない。現実の彼と比べると穏やかで心の余裕があり、平凡な幸せを享受していることが伺えた。一つはっきり覚えている……シュウが出会って以来一度も浮かべたことの無い、
(そういえば、あの夢の中……シュウ、
笑ってたわ…)
笑顔がその表れであろう。
戦いがあることは現実と同じでも、あれがもし現実だとしたら、これは恐ろしいことだ。でも、恐ろしいと言えば…夢が連続ドラマのごとく地続きになっていることかもしれない。一度ならず二度も、なんて普通の夢では早々ないのだから。
(…うぅん。結局夢だもの、考えても仕方ないよね)
それよりも今日は、現実でその平穏を楽しむ日だ。
「そう言えば、こうしてシュウとお出かけするのって、初めてよね」
彼が心の平穏をまだ取り戻し切れていないのなら、これからそれを一緒に取り戻したい。
平民に向けた舞踏会のための準備という名目はあるが、テファはシュウとの外出に胸を弾ませた。
(…シュウ、十分頑張ってきたんだもの。今日は…うぅん、これか
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