暁 〜小説投稿サイト〜
ロックマンX〜Vermilion Warrior〜
第144話:Devil
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トリロビッチを撃破して周囲を見渡して、もう敵はいないことを確認したエックスとエイリアは安堵の息を吐いてバスターを下ろした。

そしてエックスは再度、トリロビッチの残骸を見遣りながら拳を握りながら呟いた。

「………くそっ」

「エックス…!?どうしたの、まだ始まったばかりよ」

呟きを聞いたエイリアが振り返り、思わずエックスに尋ねてしまう。

「そうだ…また始まってしまった……やっとの思いで…沢山の犠牲の果てに平和を取り戻してもまた戦いが起きてしまう。今回も…ルナが敵に捕らわれてしまった上に…またこんなことが…俺達は一体何時までこんな戦いを…」

自分の弱音は味方の士気に関わるために、部下達の前では見せなかったエックスの悩む姿。

「エックス………」

こんな時、ルインならどうエックスに言葉をかけるのだろうか?

ルインなら多分エックスの人間的思考を理解した上で言葉をエックスに与えることが出来るのかもしれないが、自分はルインではない。

だから、自分に出来る精一杯でエックスを支えるだけだ。

「すまないエイリア。こんな時に弱音を吐いて…ルナがあんなことになってしまって…また戦いが始まってしまったからつい…」

「良いのよ、あなたの気持ちは私やみんなも分かっているわ…私としてはもっと私に弱音を吐いて欲しいわ…」

「え?」

「あなたは何時も1人で溜め込んでしまうじゃない。あなたは辛いことや悩みを1人で抱え込んでしまうから…私もルインも見ていて辛いの…それとも私達はそんなに頼りにならないかしら?」

それを言われたエックスは慌てて否定する。

「そんなことはない。君達には何時も助けられているし頼りにしてるよ。ただ、俺の悩みに君達を巻き込みたくないだけで…」

「水臭いわよ、エックス。私達のことをもっと頼って?きっとルインがこの場にいたらあの子もそう言うはずよ…だって私達とあなたは…」

「パートナー…か…うん、ありがとうエイリア…早くハンターベースに帰投しよう」

エイリアの言葉に救われたような感じがしたエックスは笑みを浮かべるとパレットに通信を繋いでハンターベースに帰投した。

そして戦場から彼方に離れた月…衛星ムーン。

古来から神秘的な光で賛美と畏怖を抱かせたその衛星では、実に険悪な空気に満ちたシーンを目にすることが出来る。

月面に建造された巨大な宮殿。

上質な白い石柱で建てられたそれは、イレギュラーの間ではかつて最初の覇王の反乱の際に建造された物と同じく“シグマパレス”と呼ばれていた。

君臨する覇王に似て暗く、険しく、かつての最初の大戦で崩壊した要塞と同じ名を与えられた荘厳な城…。

その一室で王と傷だらけの少女が眼光鋭く向かい合っている。


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