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魔法が使える世界の刑務所で脱獄とか、防げる訳ないじゃん。
第一部
第38話 マフィアの仕事
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- Side.Mafia -

「……はぁ」
「どうしたんだい、琴葉。私の前で溜息なんて、珍しいじゃないか。何か、悩んでいる事でもあるのかい?」

めちゃくちゃ沢山ある。


『もう一度幹部として、私の奴隷となって欲しい』


昨日、私の問いに、彼はそう答えた。

そして朝になって湊さんの執務室を訪れた時。


『今日の夜、敵対組織の上級構成員がパーティーを開くそうだ。ということで、其処へ潜入して、情報を奪ってきてくれ給え! 勿論色仕掛けもオッケーだよ。なるべく簡単に個室に呼び込む為に、響君と仁君は別部隊にするけど、連れて行っては貰うから安心してね! 任務が無事遂行出来たら、パーティー会場を響君と仁君に壊して貰うから、君のお迎えは先日捕まえた黒崎君にお願いするからね。彼なら顔割れてないし、琴葉を殺して逃げ出すなんて彼なら出来ないと思うしね。って事で、ドレスと下着は全部用意してあげたから、頑張ってね??』


なんだそれ。
そんなの、遠回しに色仕掛けしろって言われてる様なモノだよね。何で下着まで……

加えて、要がついてくるって絶対に有り得ないだろう。
これはマフィアの任務。マフィアに加入していない人間がするなんて、湊さんは嫌がると思っていたのだが。

そして、今に至る。
現在、目の前で無理矢理要が着替えさせられている。響と仁……否、恐いメイドの手に因って。

「離せっ?? 何で御前等の手伝いなんか……!」
「っるせえなぁ、首領の命令だ?? 大人しく着替えやがれ??」
「首領と琴葉様が御前に呆れている。早く大人しくして。衣装に皺がつく」
「ついてもいいですけど?? 僕は行きたくないからね!」
「直接アイロンかけても良いんだぜ? 火傷くらい、一秒も要らずに治せるからよ」
「はぁっ?? なにそれチート?? って言うか、本当に行きたくない?? 僕はマフィアの人間じゃないんだよ??」
「駄々捏ねるな。御前は特別に生かして貰っているんだ。何時首が飛んでもおかしくないって事、忘れないで」
「知らない?? 僕の首が飛ぼうが、琴葉が生きていれば良いからね??」
「これから琴葉様は危険な任務に向かわれる。一歩間違えれば、汚い豚男に捕まり、一生豚男の言いなりになるかもしれないが……それを聞いても任務を拒むのかぁ?」
「いや、行く。命に代えても絶対琴葉を守る」
「単純過ぎ……」

「悩んでいる事は……沢山ありますよ……多分。それより、朝言われた事は夢じゃなかったんだなぁって」
「現実だよ? まぁ、頑張ってね。期待しているよ、琴葉君!」

私も着替えなければいけないと思い、ドレスを抱えながらベッドの近くへ移動する。
因みに、ここは私
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