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魔法が使える世界の刑務所で脱獄とか、防げる訳ないじゃん。
第一部
第38話 マフィアの仕事
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かった所で、要はベッドに腰を掛けたままの私に近付いてきた。

「琴葉……は、ずっとこんな事をやってきたの?」
「うん、そうだよ。小さい時から魔法は得意だったからね。こう言う任務も少なくなかったよ」
「どうして嫌だって言わないの?? どうして逃げないの??」

要は私の肩を掴んで、声を荒げた。肩に彼の爪が食い込んで、そこから血が流れていくのが分かる。

「あんな汚い奴に穢されて……嫌じゃないの?」
「勿論嫌だよ。標的が満足したとしても、私は満足出来てないし……誰のか分からない子供を孕んだ事だってあるからね」
「え……?」

「断る事が出来るんだったら断りたいよ。逃げられるなら逃げたいよ。けれど、私の力じゃマフィアには勝てない。……湊さんには勝てないから。だから、命令には従うしかない。逃げるなんて出来ない」

圧倒的な力に因って、全てを支配する。
それが今のマフィア。

「それに、私が逃げれば第一魔法刑務所が潰される」
「どう言う事……? なんで?」
「“私がマフィアに戻れば第一魔法刑務所には手を出さない”。首領と約束したの。第一魔法刑務所の看守総出で戦ったとしても、マフィアには敵わない。力のある囚人が混ざったとしても無理。だからそう約束した」

今の第一魔法刑務所は、恐らくプロの殺し屋である響と仁だけでも壊せる程弱っている。
その状態でマフィアが攻めて行ったら、冗談抜きで瞬殺である。

私がマフィアである事を隠していたとしても、マフィアに追われているのにも関わらず、私を受け入れてくれた第一魔法刑務所が、私は大好きだから。


其処を壊さないためなら、私はなんだってする。


「要。貴方が生きるにはマフィアに入るしかない……だから、一緒に来てくれる?」

要の返答を聞かずに、私は立ち上がる。
要の腕から自分の服を取って、それを着る。

どんな答えが返ってくるのかは分かっていた。


???私が第一魔法刑務所へ戻らないと分かった要がする事も。


「ごめん……琴葉」


乾いた発砲音が一つ、部屋に鳴った。


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