暁 〜小説投稿サイト〜
人理を守れ、エミヤさん!
風前の灯、少女達の戦い (前)
[7/7]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話

 こくりと桜は無意識に頷いた。そして桜は自覚する。自分に力を貸してくれる存在を。
 小さな体の中を無作為に暴れていた力が治まっていた。それどころか知らないはずの戦い方や、宝具の使い方までもが桜の認識下に滑り込んで来たのだ。彼女の小さな体に黒い甲冑が現れる。

「イリヤスフィール、ミユ」
「は、はい!」
「……」

 そしてアルトリアは、ステッキの魔術礼装を握り締める聖杯の乙女達に語り掛けた。

「戦う覚悟を持つのはいい。しかし自分達だけで戦おうとしてはいけない。ここには私がいる、アグラヴェインや魔術王、ダ・ヴィンチやアルカディアの狩人……顔は知りませんが、確かな実力のあるアサシンも。気負う事はない、出来る事を出来る範囲でしなさい。逸らずに、落ち着いて。それが最も私達の力になる」
「はい!」

 イリヤと美遊の性格の違いが出る、明るさと覚悟の籠った返事だった。アルトリアはそれに微笑み、風の鞘に覆われた聖剣を顕す。
 やれやれ……流石騎士王様だとダ・ヴィンチは苦笑し、ロマニも安心したように肩から力を抜いた。
 そこにいる。
 それだけで力になる存在こそ、騎士王のような偉大な王なのだろう。ややあって、程好い緊張感に包まれた空気の中――アルトリアは静かに警戒を促した。冴え渡る第六感が、その時が来た事を告げたのだ。

「――来る。アグラヴェイン!」
「総員戦闘配置。様子見はない、ただちに状況を決するぞ。……構え!」

 アグラヴェインの号令が場を律する。

 そして――







[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ