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人理を守れ、エミヤさん!
風前の灯、少女達の戦い (前)
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ている。何らかの思惑を感じられるだけの通信の断絶だ。

「わぁお。士郎くんの読みが当たったのかな。だとしたら……」
「レオナルド・ダ・ヴィンチ」
「分かっているよ司令官代理。逆探知(・・・)されないように細心の注意を図るよ」
「分かっているならいい。ロマニ・アーキマン、お前も成すべきを為せ」
「勿論さ。ボクの魔力の隠蔽、並行してカルデアの一時的な神殿化、設備の構造強化、全部やってある。アグラヴェイン、キミは緊急時の戦闘指揮を執ってくれよ」
「無論だ。……王よ」

 管制室に詰めているサーヴァント、騎士王アルトリアは鉄の宰相の呼び掛けに頷いた。

「今は卿が指揮官だ。私も卿ならば安心して任せられる。私に気兼ねする事なく采配を振るうといい」
「は。しかし王の行動を縛るつもりは毛頭ございません。何か『感じる』ものがあれば、思うように動いていただきたい」
「私の勘で……。……思えば最も振り回して来たのは卿だった。すまないが、また頼む。アグラヴェイン卿」
「御意のままに。……山の翁よ。アーチャーとアサシンの再召喚はまだか」

 影のように各所に潜む山の翁がアグラヴェインに質され応じた。

「完了しております。彼の者らは、あらかじめ定められていた配置についているとの事」
「む、そうか……」

 探るように周囲を見るも、霊基の不確かなサーヴァントであるアグラヴェインには、気配を遮断した切嗣のみならず、巧妙に周囲の気配に同化したアタランテを探り当てる事は出来なかった。
 だが配置についているなら問題はない。アグラヴェインは弓兵と暗殺者が配置についているのなら位置を探る意味はない。
 不意に彼は視線を横に流す。鉄のように固く、友好さを微塵も感じさせない瞳が見据えたのは、三人の幼い少女達だった。

「イリヤスフィール・フォン・アインツベルン、美遊・エーデルフェルト、間桐桜。私はお前達に何も期待しない」
「っ、」
「アグラヴェイン!」
「口を挟むな、ロマニ・アーキマン。カルデアはいつから保育施設になった? 戦力として期待できない者を保護する施設ではあるまい」

 鉄槌のように厳しく、重い声音にロマニが抗議するも、アグラヴェインはそれを一顧だにしなかった。感情の色の浮かばない、異名通りに鉄のような男の視線に美遊やイリヤは唇を噛み締める。
 少女達はこの男を畏れていた。情けというものをまるで感じさせない、人間ではなく機械のような印象を抱かせる、この巌の如き男が。美遊の隣でイリヤが身を縮めている。特に桜の怯えようは酷かった。怒りというものに、或いは無機的な瞳に晒される恐怖感は強いのだろう。だが幼い少女が怯えているからと、手心を加えるアグラヴェインではなかった。
 元より彼は人間という種を信用していない。そして女という生き
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