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魔術師ルー&ヴィー
第二章
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「そんな…。」
 全てを聞き終え、ヴィルベルトは今にも泣き出しそうな顔でマルクアーンを見た。スランジェもルークも、何も言えずに俯いたまま黙している。
 そんな若者らに、マルクアーンは優しい笑みを見せて「なに、昔の話だ。気に病む事はない。」と言って一息つくと、直ぐに言葉を続けた。
「だがな…あやつとわしの研究資料を、どさくさに紛れて他国に売り渡した馬鹿がいてな。」
「は!?そのまま…ですか?」
 ルークは目を丸くしてマルクアーンを見る。
 彼女の話から想像するに、その研究は失敗と言わざるを得ない。だが、金欲しさに…その悪魔的研究の資料を売った者がいると言うのだから、どうかしているとしか思えなかったのだ。
「そうだ。だから戦が大きく長引いてしまい、この大陸全土が滅びかけたのだ。それ故、当時のゾンネンクラール皇帝は第三皇子シュテットフェルトを国賊とするしかなかった。理由はともあれ、あの"シャッテン・ガイスト"を世に出した責任は否めない。故に、皇帝は皇族全てで責任を取るとして、分家筋にあたる現在の王家へと玉座と国を明け渡したのだ。」
 この事実に、若き三人の魔術師は唖然とした。
 ゾンネンクラールの内情は、当時でも知る者は極限られており、終戦時には箝口令が全ての国で敷かれていた。戦の火種になる話であるため、これ以上犠牲を出さぬためにも全て伏せて時に任せる事にしたのである。
 いや…そうする他なかったであろう…。どの国も同じ様な過ちを犯し、そして国の行く末が覚束ない程に疲弊しきっていたのだから…。
 それはシュトゥフも知っていたが、ルーファスも師であるコアイギスから聞かされていた。魔術を誤って行使すればどうなるか…それを教えるためであった。
「それで、何故この〈聖グラヴィアーノのジェード〉にシュテットフェルト皇子の思いが宿ったと言うのだ?」
 全く解らぬと言った風にシュトゥフが問うと、マルクアーンは軽い溜め息をついて返した。
「誰か知らぬが…“シャッテン・ガイスト”の封を破り聖玉へと封じ直したと考えるのが妥当であろうよ…。」
「すると…この聖玉には今…。」
 スランジェが青褪めてそう言うと、マルクアーンは事もなげに返す。
「そう言う事だ。」
 それにはルークもヴィルベルトも顔を青褪めさせた。
「そう心配するこたぁねぇよ。もうこん中にあるのは“思い”だけだ。妖魔の力は大して無ぇから。」
 ルーファスは溜め息混じりにそう言うと、半眼でマルクアーンに「三人を脅かすなっての。」と言った。
「いや、済まん。そもそも、“思い”と“妖魔”を切り離す事なぞ出来んのだ。しかし…弱っていたとは言え、よく封じ直せたものだ。ルーファスやコアイギスなら兎も角、他の上級魔術師とて、これを扱うには最低五人は必要だと言うに。」
「と、言いますと…それ程
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